吟遊旅人ピピのシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

映画

外泊

2007年6月30日に始まった、ホームエバー・ハイパーマーケットの労働争議を追ったドキュメンタリー。解雇通告を受けた500名の女性パート労働者がスーパーのレジを占拠し、泊まり込みをするという、「結婚して以来初めての外泊が労働争議」という女性たちの闘…

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書

時は1967年。ベトナム戦争でアメリカの敗戦は必至と見られる報告書がロバート・マクナマラ国防長官に届けられた。しかし、彼はその事実を隠す。それから4年後、その文書の存在がニューヨーク・タイムズによってすっぱ抜かれた。これがのちにペンタゴンペーパ…

15時17分、パリ行き

これは事件が起きてからさほど時間がたっていないため、ほとんど何の説明もなくても観客がすぐに「ああ、あれね」とわかるというところが得している作品だ。 2015年にヨーロッパで起きた実際のテロ事件をそのまま再現する映画であり、ほんとうに「そのまま」…

グレイテスト・ショーマン

巻頭からの派手なショーは、「ラ・ラ・ランド」と同じ作風(作詞・作曲は同じでも監督は違うのにね)。まあ、ここは定番のつかみの部分でしょう。 時代はぐっと遡って1800年代。実在したアメリカのショービジネス界の草分けと言われているP・T・バーナムの…

苦い銭

BGMなし、ナレーションなし、ほとんどテロップなしの3時間近いドキュメンタリー。 出稼ぎ労働者が住民の8割を占めるという浙江省湖州にやってくる、雲南省出身の若者たちの働く姿を淡々と映し出した映像がつながっていく。この町の個人経営の縫製工場は18,0…

クンドゥン

ダライ・ラマ14世の出生からインド亡命までの22年間を描く伝記映画。ダライ・ラマ14世の伝記的事実をまったく知らなかったために、すべてのシーンが興味津々だったが、大腸カメラの疲れが出て途中爆睡。 20年前の映画だけれど、ブルーレイの画像はため息が出…

予告犯

派遣労働者が職場でいじめに遭って退職。やがて住むところもなくなってネットカフェを転々とする日雇い労働者へと転落する。その結果、社会に対する憎悪を募らせた彼は仲間を引き込んで、ネットで次々と犯罪予告動画を流し、実行していく。その姿は新聞紙を…

GF*BF

1985年から27年にわたる三人の青春物語。巻頭は2012年。双子の姉妹が高校で校則反対運動を華やかに陽気にはじけるように始める、その瞬間から始まる。姉妹の父親が学校に呼び出され、そこから物語は一気に1985年の台湾へと飛ぶ。戒厳令下に抵抗運動が盛んだ…

パディントン2

前作よりかなりグレードアップした大アドベンチャーものに。アクションシーンも楽しく見どころたっぷり。随所に爆笑シーンが練り込まれ、脚本も凝っていて随分楽しめた。伏線がいちいち回収されていくのにはおお笑い。 「リ・ライフ」で落ち目の脚本家を演じ…

ジオストーム

インフルエンザからの病み上がり第一作に相応しい、脳みそ空っぽでも楽しめる作品。 アンディ・ガルシアが大統領でジェラルド・バトラーが科学者って、何かの間違いですか(笑)。どう見てもマフィアのドンとヒットマンにしか見えない。こういう怪しいキャステ…

完全なるチェックメイト

ボビー・フィッシャー、なんとなくその名は聞いたことがある、という事実に途中で気づいた。そう、彼はチェスの天才で、アメリカ人初の世界チャンピオンになった男だ。天才の名をほしいままにした変人奇人である。 映画は、ボビーの少年時代から、世界チャン…

13時間 ベンガジの秘密の兵士

劇場未公開だけれど、大迫力の戦闘映画。2012年9月11日に起きたリビアのアメリカ領事館襲撃事件の13時間に迫る。知った顔の役者がいなくて、戦闘の場所やら組織が二つあってその上、「敵」というのが何なのかわからず、リビアの親米民兵もいるからいったい誰…

ルイの9番目の人生

ファンタジー色に染められたサスペンス。こんな不思議な映画もあるんだ、と瞠目。 これは演出に賛否両論が出そうな出来だが、つまり、ファンタジーなのかミステリーなのかはっきりしない中途半端さが子供だましっぽい、という点。しかし、わたしはこういうミ…

人生は小説よりも奇なり

しみじみと味わいのある作品。しかし、これは年老いたゲイカップルの話として、というよりも、年老いたカップルにありそうな話という気がして身につまされるものがある。 物語は中高年ゲイカップルの結婚式から始まる。二人は39年間同居していたが、ついに同…

笑う故郷

こんなシニカルな映画が本国でヒットしたのかどうかがとっても気になる一作。本作の監督が作った「ル・コルビュジエの家」もたいてい変な映画だったが、本作もそれに負けず劣らず。要するに救いのない映画を作ってしまう人たちなんですね、彼らは。コメディ…

ベルファスト71

途中で誰と誰が敵なのか味方なのかわからなくなって、人物相関図を出してくれーと叫びそうになった。 1971年のベルファストを舞台にした戦争サスペンス。IRAとの熾烈な内戦(といっていいのか?)を戦っていたイギリス軍の一兵卒が体験した一夜の恐怖。何も…

ハロルドが笑う その日まで

独特のおかしさが漂う、北欧のコメディ。 イケアの創業者イングヴァル・カンプラードが実名で登場して誘拐されてしまう、というびっくり仰天もので、こんな映画がよく作れたもんだとあきれるやら可笑しいやら。この映画でイケアはこき下ろされているんだか持…

ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!

リュック・ベッソンの製作・脚本と聞いた瞬間に「ああ、そういう映画ね」と思って見に行ったら、やっぱりそういう映画だった。んで、上官役にJ・K・シモンズが登場した瞬間に「ああ、そういう役ね」と思ったら、やっぱりそういう役だった。 というわけで、一…

海賊じいちゃんの贈りもの

これは楽しい! 子役の芸達者ぶりには舌を巻く。とりわけ末っ子の愛らしいことったら、食べてしまいたいくらいだ。子どもたちの自然な表情や会話は、脚本無しで演じさせた結果ではないか。かなり長時間カメラを回し続けてようやく入手した貴重な映像、という…

イップ・マン 継承

これはもう完全に、イップマンという実在の人物の姿を借りた作り話だ。イップ・マンの伝記でもなんでもない。そう思ってみる方がいい。で、作り話ゆえにとっても面白い。 イップ・マンのシリーズを見ていると、中国人は全員カンフーができるんじゃないかと勘…

イップ・マン 葉問

前作では敵は日本だったが、今度は英国である。どちらも中国を支配下に置いた国だからね、反日・反英映画で中国人は溜飲を下げるのである。 もうこうなると史実とはまったく関係のない作り話であることが見え見えのお話になっている。翻って前作の日本軍人と…

イップ・マン 序章

ブルース・リーの師匠として知られる実在の武術家、“詠春拳”の達人、イップ・マン(葉問)の人生を描くシリーズ第1弾。イップマンの伝記映画がいろいろあってややこしいのだが、6作も作られた同名映画のうち、ドニー・イェン主演のシリーズは「序章」「葉問…

パリよ、永遠に

すんでのところでヒトラーによってエッフェル塔もルーブル美術館もノートルダム寺院も破壊されてしまうところだったとは、まったく知らなかった。この史実は非常に興味深い。 戦争によって犠牲になるのは人命だけではない。多くの文化財や美術品が失われてい…

アレクサンドリア

これぞまさしく図書館映画。世界最古の図書館、アレクサンドリアにあった巨大な図書館が舞台となる。つい最近、レイチェル・ワイズが歴史学者を演じた「否定と肯定」を見たばかりで、この人がもともとこういう理知的な役をやらせると似合っているということ…

エンドレス・ポエトリー

「リアリティのダンス」の続編。奇妙奇天烈ぶりが相変わらず炸裂している。開巻シーンを見た瞬間に「来た来た来た来たっ」と心の中で叫びましたよ、わたくし。前作から3年。変わったことといえば、アレハンドロ・ホドロフスキーの少年時代を演じた役者の背が…

否定と肯定

「ホロコーストはなかった」と主張するネオナチのイギリス人からある日突然告訴されたユダヤ系アメリカ人歴史研究者の手記を元にした映画。レイチェル・ワイズがアメリカの歴史学者で原作者のボラ・E・リップシュタットを演じる。ユダヤ人らしい赤い縮れ毛…

ローガン・ラッキー

こんなおまぬけな連中に金庫破りができるのか? アホすぎるやろ。そんな杜撰な計画、上手く行くほど世の中甘くない! などなど、画面にツッコミを入れながら見ていたが、とにかく楽しい。 「オーシャンズ11」のときのような華麗なるプロの技ではなく、ド素…

シャトーブリアンからの手紙

タイトルにある「手紙」とは、シャトーブリアン郡にあった政治犯収容所で処刑された27人の囚人が家族に宛てて書いた遺書を指す。本作はナチス占領下のフランスで実際に起きた事件を元にしたドラマだ。主人公の少年はわずか17歳。まだ幼さの残る顔をしている…

アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男

ナチスの戦犯アイヒマンを逮捕することに執念を燃やしたユダヤ系ドイツ人検事長、フリッツ・バウアーの物語。「顔のないヒトラーたち」ではバウアーの部下である若手検事が活躍したが、架空の人物ではなく実在のバウアーが主役となるため、作り話に特有の華…

ネルーダ 大いなる愛の逃亡者

ネルーダといえば名作「イル・ポスティーノ」の印象しかないのだが、本作のネルーダはイル・ポスティーノとはかなりイメージが違って、我儘で好色な親爺という面が強く出ている。むしろそこしか印象に残らないという悪弊もあるかも。 演出そのものが詩のよう…