吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

浜の朝日の嘘つきどもと

こういう映画は面白くないという人が続出することが容易に想像できるのだが、わたしはこの物語の辻褄の合わなさも含めて面白いと思った。何よりも映画館への愛にあふれていて、こういう映画は好きだなあ。 さて、その物語とは。福島県相馬市に実在する映画館…

ミス・マルクス

本作を見る前に、「マルクス・エンゲルス」と「未来を花束にして」を見ておくとわかりやすいだろう。なんの予備知識もなく本作を見ると人間関係が混乱するので、マルクスとエンゲルスの関係や、マルクス一家の家族構成は頭に入れておくことをお勧めする。 か…

モロッコ、彼女たちの朝

女手一つで小学生の娘を育てるパン屋のアブラの店の斜め前に、大きなお腹を抱えた妊婦が座り込んでいる。その妊婦は「仕事が欲しい」と昼間、頼み込んできた女だ。夜になって野宿を始めたその姿が気になって仕方がないアブラは、彼女を渋々招き入れる。これ…

はちどり

青春物語をあまりにも繊細に描き過ぎたので、ものすごく退屈な映画になってしまった。これを見て喜ぶ人はほとんどシネフィルに限定されそうな気がする。わたしは全然退屈しなかったのだが、それはひとえに主人公があまりにも愛らしかったからだ。 主人公は14…

クライシス

劇場未公開作。確かに地味だし、構成がわかりにくいのでそうなったのかもしれないし、コロナ禍のせいかもしれないが、見ごたえのある社会派作品なので映画館でかからなかったのは残念だ。 本作はアメリカで現在、大問題になっている鎮痛剤オピオノイド中毒問…

くじらびと

映画館の大きなスクリーン会場なのに、誰もいない。よもやの一人観客か!と絶句しそうになったところ、予告編の途中でシニア男性が一人入ってきたので、やっと観客は二人になった。 で、これは大スクリーンで見たのが正解の、音響も素晴らしい迫力の作品だっ…

世界で一番ゴッホを描いた男

こんな商売があったとは驚きだ。中国広東省大芬(ダーフェン)は、世界最大の“油画村”と呼ばれ、複製画を描いて海外輸出する業者が多数存在するらしい。業者といっても家族経営みたいなもので、小さな工房で5人ぐらいの画工が油絵の筆を揮っている。天井から…