吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2014-01-01から1年間の記事一覧

もうひとつの約束

韓国の巨大企業サムソンを相手に労災補償闘争を闘った実話をドラマにした力作。 江原道の港町束草(ソクチョ)のタクシー運転手、ハン・サング(パク・チョルミン)は妻と2人の子供と、平凡ながら幸せな家庭を築いていた。娘のユンミ(パク・ヒジョン)が韓国…

舞妓はレディ

「マイ・フェア・レディ」にオマージュを捧げた一篇。実に楽しい。実に爽やか。惜しむらくは草刈正代のダンスが少ししか見られなかったこと。最後の最後に存分に見せてもらえるのかとドキドキしながら期待していたのにがっかりである。 本作がミュージカルで…

イントゥ・ザ・ストーム

竜巻といえば「ツイスター」。もう18年も前の映画だったのか。あっという間です。友人と二人で子育ての手を離れて久しぶりに見に行った映画として印象深かった。でも内容じたいはダメダメで笑ってしまったけど。あんな映画でも見に行けたことが嬉しくて、…

マダム・イン・ニューヨーク

1日5本立てを敢行した日、「オズの魔法使」の次に見たのはこれ。これは楽しい。最後に婚礼シーンがあって参加者一同が踊りまくる。映画館でわたしもついつい座ったままステップを踏んでしまった。 インドに住む専業主婦シャシがニューヨークに住む姪の結婚式…

消えた画 クメール・ルージュの真実

虐殺を描く手法に「人形」があったとは! 13歳で家族もろともクメール・ルージュ(カンボジア共産党)の粛清に遭って僻地の労働キャンプに移動させられるが、2年後に脱出、かろうじて虐殺を生き延びた後はフランスで映像を学んでドキュメンタリー作家となった…

REDリターンズ

二番煎じというそしりは免れない。新鮮味もない。とはいえ、前作の詳細を完璧に忘れているので、キャラの設定がよくわからなくて困った^^;。ある意味新鮮だったかもしれない。 イ・ビョンホンは今回新たに加わったキャラのはずなのに、いきなり「俺の飛行機…

サイド・エフェクト

俳優が豪華。新薬開発をめぐる社会派サスペンスかと思ったのだが、そうではなくて愛欲をめぐる犯罪ものでありました。原題はズバリ「副作用」。鬱病の新薬を投薬された女性が、その副作用によって夢遊病状態となり、眠ったまま殺人を犯してしまう。処方した…

ザ・ドア 交差する世界

タイムパラドクスの新しい形。斬新なアイデアで、最後はあっと驚く展開に。先が読めないという点でもサスペンスとしてよくできている。 成功した画家として幸せに暮らしているはずのダビッド(マッツ・ミケルセン、渋いわ~)が、近所の尻軽そうな女と浮気し…

エレニの帰郷

アンゲロプロス監督の遺作、ついに公開。相変わらずのアンゲロプロスぶり。いつものパン撮影、いつもの川、いつもの小舟、いつもの霧、いつもの群集、いつもの時制人物ぐちゃ混ぜ。アンゲロプロスの「型」そのままなので、彼の作品を見慣れていればさほどの…

アメリカン・ハッスル

今年の2月に長男Y太郎と映画館で見た作品。Y太郎が大喜び。いきなりクリチャン・ベイルがハゲ頭! いきなりクリチャン・ベイルが中年太りの太鼓腹! どうやってあそこまで太ったのか、この人の役者魂はすさまじい。「マシニスト」で30キロのダイエットをやっ…

柳と風

キアロスタミ監督の「友達のうちはどこ」にそっくりだと思いながら見ていて、最後のクレジットを見て納得。やっぱりキアロスタミが脚本を書いていた。 誤って学校の窓ガラスを割ってしまった少年が、弁償を命じられて悪戦苦闘する話。たったそれだけのことな…

グランド・ブダペスト・ホテル 

ウェス・アンダーソンの作品は当たり外れの差が激しくて、これはどっちだろーとドキドキしながら見たところ、見事に「当たり!」。とはいえ、途中、ギャグがしつこくてだるくなり、少々寝てしまったが、それはそれとして大変楽しめたのである。個人的には大…

私が愛した大統領

史上ただひとり4選された大統領フランクリン・デラノ・ルーズベルトの従妹であり愛人であったデイジーの日記を元に再現する、大統領の秘められた日々。デイジーが亡くなったときに見つかった日記によって、ルーズベルト大統領の秘密の恋愛が明らかになった…

ソウォン/願い

韓国で2008年に実際に起きた少女強姦傷害事件を題材にする重い映画だけに、「いい映画だった」と手放しで評価することはためらわれる。「ペパーミント・キャンディ」から15年、主役ソル・ギョングは中年になり、渋みが出てきた。彼の自然な演技といい、子役…

トランセンデンス

友人の映画ライターが「イタコ映画」とズバリ本質を突いたコメントをFacebookに寄せた、まさにその通りの映画。これは押井守作品からかなりのヒントを得ているのではないかと思われる。コンピューターネットワークの中で生き続ける人間の記憶、という発想が…

パシフィック・リム

現在公開中のハリウッド版「ゴジラ」を記念してゴジラ祭り開催中。この「パシフィック・リム」は去年の夏に公開された大作で、ゴジラとは直接関係ないけど、とっても面白いのでお薦め。 メカ好きが泣いて喜ぶガジェットだらけの映画。美術さん頑張りました。…

GODZILLA ゴジラ 

日本版の元祖「ゴジラ」に比べて、こちらのゴジラは造形はまるでトカゲ。映画のトーンは完全にコメディ。あの深遠な政治的メッセージはまったくない。そもそもゴジラが発現した原因はフランスの核実験、という「悪いことはひとのせい」にしたがる大国意識む…

ゴジラ

ハリウッド大作「ゴジラ」が公開されているのを記念して、本家本元の元祖ゴジラをご紹介。ついでにローランド・エメリッヒ監督で作られたハリウッド版にも言及します。 ご存じ元祖怪獣映画は1954年、アメリカの水爆実験によって古代の恐竜が巨大化して東京を…

GODZILLA ゴジラ

ゴジラVSモスラ! 巨大怪獣のグレートバトル!! 残念ながらモスラではなく「ムートー」というエイリアンみたいな気色悪い怪獣なので気合がそがれる。敵のデザインにも配慮がほしい。モスラのような美しさのかけらもないムートーのフィギュアには嫌悪感が募…

パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト

長身に長髪をなびかせサングラスをかけて颯爽と登場する、ロックスターのようにかっこいいパガニーニ、最高! 演じたデヴィッド・ギャレットは本物の超絶技巧ヴァイオリニスト、イケメン、演技もうまい。宴会後の鑑賞にもかかわらず、びた一秒も寝ることなく…

渇き。

ものすごく評判が悪いので、なーんにも期待しなかったけど、とにかく今月末で期限が来るTOHOシネマズの鑑賞券があったから使わなくちゃ! ほんとはゴジラが見たかったけど時間が合わなかったので、やむなくこれに。 で、なんにも期待していない分、面白く見…

超高速!参勤交代

期待していなかった分、面白かった。悪役はどこまでも憎たらしく、善良な家老はどこまでも吝嗇家で、人の好い殿様は民のことをいつも案じて、自分は漬物さえ食べればよいと慎ましい。謎の抜け忍は豪快なダイハード男で、品の無い飯盛り女は実は心優しく気の…

ラストミッション

ファン悶絶のケビン・コスナーここにあり。愛娘を抱き上げるシーンといい、ダンスのシーンといい、「ボディガード」そのまんま。ケビンファンのための映画、ケビンを見るための映画、それだけのために存在する映画。あと10回は観たい。 「ボディガード」は何…

ノア 約束の舟

旧約聖書の「創世記」にほんのわずかに描かれている「ノアの方舟」伝説は、子どものころからよく知っている。キリスト教徒でなくても誰もが知っているお話を、大スペクタクルで2時間を超える物語にできようとは、恐れ入った、ダーレン・アロノフスキー監督。…

風立ちぬ

タバコ吸い過ぎ(苦笑)。禁煙学会が物言いをつけていたことを知っていたので、どれほど喫煙場面が多いのか、興味津々で見ていた。なるほど、文句をつけたくなるのもわかるほど喫煙場面が多い。結核患者の前でまで吸っている。しかしこれは文句をつけても仕方…

大統領の執事の涙

大統領の執事は一人じゃなくて何人も居る。そして、大統領が代わっても執事は淡々と新しい主人に仕える。その場の空気になることを求められ、自分の存在を無にすることを求められる「給仕人」、それが執事の仕事なのだ。 7代の大統領に仕えた実在の黒人執事…

王子と踊り子

「マリリン 7日間の恋」を見たときにとても気になっていたこの作品、やっと観る事ができた。撮影の裏話を「マリリン」で仕入れているだけに、興味深く見られる。 なんといってもマリリン・モンローのあの胸、あのお尻、あの腹! すべてがムチムチ、パンパン…

大統領の料理人

期待したほどの面白さはなかった。たぶん、ここに登場する料理の数々に親しみや思い入れがないからだろう。トリュフが死ぬほど好きな人なら喜んで見るだろうが、見たことも匂いをかいだこともない人間にはさっぱりである。単なる黒い塊にしか見えない。なに…

ある愛へと続く旅

ペネロペ・クルスの老けメークのすさまじさには驚いた。ペネロペ・クルスがいつもなら暑苦しいのだけれど、この映画では若いころは可愛く、歳とってからは渋くてなかなかよかった。「イントゥ・ザ・ワイルド」の好青年エミール・ハーシュくんがこの映画でも…

ルート・アイリッシュ

ルート・アイリッシュとは、イラク戦争下で世界一危険と呼ばれる道を指す。ここを何度も往復した挙句に戦死したイギリス民兵の葬儀場面から物語は始まる。戦争を描くと異様に暗くなるケン・ローチ、今回も救いの無い展開で戦争の不条理をあぶりだしていく。 …