吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

テルマエロマエ

一ヵ月半も前に見た映画なので既に記憶が…。 大ヒット漫画の実写映画化。原作の世界をよくぞうまく映画にしたものだと思う。 ローマ人役を演じられる顔の濃い日本人役者がこれだけ揃っているのだから、顔の平たい族(日本人)役者ととても同じ民族とは言えま…

わが母の記

奇をてらわずに普通に作られた映画というのがどれほど心和ませるものかが如実にわかる映画。本作を見る前にソクーロフ監督の「ファウスト」を見ていたので、ほっとした思い。ソクーロフはわたしとの相性が極端に分かれてしまう監督で、震えが来るほど好きな…

キリマンジャロの雪

タイトルはヘミングウェイの短編小説とは何の関係もなく、1966年に大ヒットしたフランスのスタンダード曲から取られた。映画の中ではキリマンジャロは映りもしない。南仏の港町マルセイユを舞台に、リストラされた労組の委員長が貧しい若者を救うために手を…

道 〜白磁の人〜

村上春樹が2009年2月16日にエルサレム賞受賞スピーチで「壁と卵」と述べたことの実例がこの映画の中で描かれる。「壁」とはシステム、「卵」とは個人のこと。システムのような強固で暴力的な装置に対して、人間は卵のようにもろく儚い。けれど、壁にぶち当た…

ダーク・シャドウ

先週は井上玲子ちゃんが亡くなり、気持ちが落ち込んでいた(短い追悼文をエル・ライブラリーのブログに書いた)。今月初めに観た「ダーク・シャドウ」なんていうコメディ映画の感想をアップする気にもなれなかったが、よく考えてみたらこの映画はコメディだけ…