2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧
アキン監督の作品ではいちばん気に入っている。 ハンブルグの港に面した倉庫を改造した大衆食堂を経営するギリシャ移民二世のジノスという青年を主人公とする、ハートフルで愉快で喧しくも音楽が気持ちのいい爽快な映画。 ジノスが経営する食堂は、味にうる…
蝉は成虫となって地上に出て7日で死んでしまう。でももし八日目まで生き残った蝉がいたとしたらその蝉は幸せなのだろうか、不幸せなのだろうか。 愛人の赤ん坊を誘拐して愛情豊かに4年間育てた女と、誘拐されて4歳のときに実の両親のもとに戻された、いまは2…
第1話<第2話<第3話と面白くなるこの三部作、ついに第3話はまったく居眠りすることなく最後まで見続けることができた。劇場内が明るくなった瞬間にYが「第1話と2話は3話の<振り>やったんやな。長い前振りやなぁ」。その通り、これまでの2作はこの第3作…
第一話「大地のうた」に比べると画面がはるかに美しく陰影に富んでいて、物語も面白い。田舎の風景を古いモノクロ映像で見ると見苦しいということに気づいてしまった。 第2話では貧しき一家はガンジス川沿いのスラムに移り住む。町の風景のほうがはるかにモ…
サタジット・レイの「大地のうた」三部作を一ヶ月以上前に長男Y太郎(19歳)と一緒に見た。歌って踊らないインド映画、モノクロで実に地味地味。Yいわく、「インド式リアリズム映画やな。下手なロッセリーニみたいや」。 ドストエフスキー「貧しき人々」のイ…
終身刑のはずが、12年目で突然恩赦によって保釈された中年女性レイラは、フィンランドの片田舎の牧師館で職を得る。盲目のヤコブ牧師のもとに届けられる手紙を読んで返事を書くのが彼女に与えられた仕事だ。しかし、気持ちがねじくれてしまったレイラには、…
これは素晴らしい。チャップリンの「街の灯」のような感動をもたらす映画。今年のベスト10に入ると思う。というか、これまでのところ、ベスト1か2。 「ベルヴィル・ランデブー」を作った鬼才ショメがジャック・タチの遺作脚本をもとに製作したアニメというか…
情事の最中に子どもが死ぬという映画なら「おはん」(市川崑監督、1984年)を思い出すが、全然そういう話ではなかった。「9.11後」というジャンルがあるなら、間違いなくその一つの作品。主人公の心理が丁寧に描かれ、共感を呼ぶ。 主人公である若い母親には…