吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2030年ごろかも。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

パンズ・ラビリンス

スペイン内戦を舞台にしたファンタジー。 スペイン内戦を知らない日本の若い世代はこの映画をどう見るのだろう? 劇場は若者で満席だったのだが、彼らはこの映画のどのように見たのか、わたしはそのことに興味がある。映画がはねた後、このファンタジーを単…

バッドサンタ

これはケッサク! 差別コードネタのブラック・ユーモアぶりには大笑い。こういうコメディが最近の流行なのか、けっこうきわどい差別ネタを見かける。いいのかなぁ~? 毎年クリスマスシーズンになると黒人の「小人」の相棒と一緒にデパートでサンタクロース…

鉄コン筋クリート

お正月にNさん母娘と一緒に鑑賞。何がが言いたいのかさっぱりわからなかったけれど、映像の爆発力はすごい。アニメはもう行くところまで行ったね。 既視感の強いアニメだと思っていたら、案の定「MIND GAME マインド・ゲーム 」を制作したSTUDIO 4℃が担当し…

ジャスミンの花開く

B級。なんじゃこら。 歴史も家族の愛憎も男女の感情のあわいもすべてが表層をなぞっただけ。チャン・ツイィのファン以外は満足できないだろう。よくこんなひどい作品ができたものだ。 チャン・ツイィよりも、彼女の母親役ジョアン・チェンのほうがよっぽど美…

トランス・ポーター2

これは正月に家族揃って自宅で鑑賞した作品。 「うっそ~」「ありえねぇ~!」という絶叫がこだまする、お正月ウハウハ荒唐無稽アクションムービー! お屠蘇を飲んだ後に家族そろって笑って見るにはちょうどいい映画ですね。といってもわたしは酒を飲まなか…

アイ ウォント ユー(I Want You あなたが欲しい)

”9 Songs”でウィンターボトム監督のエロぶりにぶっとんだけど、この映画を見て確信した。この人、すけべです。 この映画はわたしの期待したものとちょっと違った。最初のうちこそ、ウィンターボトム色が出ていて枯れたようなざらついたような渋い色の景色が…

プルートで朝食を

これは楽しい! でもIRAがらみの爆弾テロが4回(3回?)も起きるというすさまじい映画。 パトリックはアイルランドのとある教会の前に捨てられていた男の子。教会付属学校へ通うけれど、教会の教えとは相容れない感性の持ち主で、子どもの頃から女装好き。長…

映画のようには愛せない

ストーリーはまるで「フランス軍中尉の女」のリメイクのような内容。主人公たちが出演する映画が19世紀時代劇というのも共通している。女優が芸達者というのも共通している。けれど、わたしにはこの作品のほうが面白かった。なぜだろう? 「フランス軍中尉の…

パッチギ!LOVE&PEACE

これは5月末の出張の折にシネマ・メディアージュお台場で見たのだけれど、なんと! 映画人生初体験のたった一人の観客。わたしがいなければそれでも上映したのだろうか? わたし以外に観客がいないという寂しい体験だったが、映画館のど真ん中で一人座って…

幸せのレシピ

ラブコメとしては元ネタの「マーサの幸せレシピ」よりよくできています。さすがにハリウッド映画はこの手のものはうまい。 実を言うと、わたしは料理映画が大好き。料理がおいしそうな映画には点が甘い。で、もちろんこの作品でも高級フランス料理がおいしそ…

リトル・ミス・サンシャイン

一家全員が「負け組」という家族のロードムービー。 祖父:ヘロイン中毒のスケベ爺。 父 :9段階の自己啓発理論をひっさげて出版界にデビューを狙う。 母 :働く主婦。今日もディナーは店で買ってきたフライドチキン。 兄 :パイロットになることを夢見て、…

長い散歩

かつて共同体が生きて機能していたころは、一つの家庭で子どもを世話できなければ隣近所が代わる代わる養育したものだ。それと同じことをしようとすると、今や「誘拐」騒ぎになる。これは、隣家の児童虐待を見かね初老の男が幼い少女を連れて旅する道行きの…

クリムト

この映画は無意味にカメラをぐるぐる回しすぎるので、目が疲れてしまう。クリムトの幻想的で退廃的なムードを出そうとした映像はそれなりに工夫があるのだけれど、どうも意図がよくわからない。ばしっと決まっていない。 ウィーンのカフェで若きヴィトゲンシ…

親密すぎるうちあけ話

ルコントらしい作品。ほんと憎いわ。「仕立て屋の恋」なんかに比べると緊張感はいまいちだけれど、しゃれています。 精神科医と間違えて税理士の事務所のドアを開けてしまった美しい人妻。彼女の親密すぎる打ち明け話にのめり込んでしまった税理士は… この映…

ブロークン・フラワーズ

人生の謎には答なんてない! いかにもジャームッシュ! 20年前に別れた女からある日突然手紙が届く。「実は、あなたと別れた後で妊娠に気づいたの。一人で生んで育てました。その息子は今19歳。父を捜す旅に出てしまったわ。あなたを訪ねていくかも」 住所も…

エディット・ピアフ 愛の讃歌

わたしはエディット・ピアフの声を生前に聴いた覚えはなく、「愛の賛歌」にしたところで最初に感動したのはブレンダ・リーの歌った英語版なのだから、ピアフのことはほとんど何も知らない。それに後々になって聴いた彼女の歌声や歌い方はいかにも時代を感じ…

プロヴァンスの贈り物

これはスマッシュヒット! テンポよし、映像よし、音楽小気味よし。なんといってもワインが飲みたくなるぅ~! さて物語は…。 ロンドンで天才的な手腕を振るうトレーダーのマックスが、あこぎなやり方でぼろ儲けしたのはいいけれど、当局の捜査の手が入って…

大統領暗殺

現職の大統領を登場させて、その暗殺事件を捏造してしまう恐るべき「ドキュメンタリー」映画。大統領暗殺事件は2007年10月19日に起こった。あ、もう過ぎてるやんか! ブッシュ大統領、何事もなく無事なようで。 この映画は、大統領の側近や警備担当者の証言…

長江哀歌(ちょうこうエレジー)

現代劇だというのに、時代がいつなのかさっぱりわからない映画だ。それほどに、ダムに没する運命の三峡の町は古めかしく、そして今や廃墟と化しているのである。人々の顔は泥臭く汗くさく、大地にしがみつき生きている者の労苦や怠惰や卑しさや生命力をその…

題名のない子守唄

泣いたわ! ラストシーンでいきなり涙が噴出。トルナトーレ監督の作品ってこういう泣かせ方が上手です。 題材は実は陳腐だ。虐げられた可哀想な女が懸命に生きるのに、苦難が襲い掛かってきて…というお話。主人公の美しい女に観客は思いっきり同情するし、「…

あるスキャンダルの覚え書き

15歳の教え子の少年と肉体関係を持った美しい女教師。その秘密を知った同僚の老女教師は若い女を自分の意のままに操ろうとする欲望にとりつかれる… ジュディ・デンチとケイト・ブランシェットが演技の火花を散らす「女の闘い」。本作のケイト・ブランシェッ…

不都合な真実

ゴアは天性のアジテイターだ。上手い! ゴアが使っているプレゼンテーションソフトはなんだろう、ものすごくよく出来ている。 事実を生(き)のままに切り取ってぶっきらぼうに差し出したのが「ダーウィンの悪魔」だとしたら、「不都合な真実」はかなりショ…

シッコ

初めてタイトルを見たときにはぎょっとした。「声に出して言いにくい日本語」。これは病人のことを指すらしいが、「ビューキ」とでもいうようなニュアンスがあるという。医療保険制度を告発する映画のタイトルとしてビョーキは保険制度そのものだというニュ…

それでもボクはやってない

ここ描かれている逮捕・起訴・裁判の手続きの流れ、弁護士との接見や拘置所での面会等々、わたしには知らないことはほとんどなかった。だからこの映画を見て新鮮な感動を覚えたり、裁判の勉強になったといった啓蒙的な効果は(わたしにとっては)まったくな…

イカとクジラ

同じ離婚ものでも、ベルイマン作品のような緊迫感がない。そこがアメリカ映画なんだろうか、どういうわけか軽いのだ。子供の視点で描かれているからかもしれない。 最近ニューヨーク知識人の本を立て続けに読んでいるからか、ニューヨークの知識人はみんなユ…

上海の伯爵夫人

ときは1936年、所は上海の租界。盲目のアメリカ人外交官ジャクソン(レイフ・ファインズ)がバーに現れて、「理想の店を持つことが夢だ」と語る。彼がなぜ目が見えなくなったのか、その理由は物語が進むうちに少しずつ明らかにされる。バーで働くロシアの亡…

カフカの「城」

カフカの作品の中で一番好きなのが『城』だというのに、この映画を見て愕然とした。なんと、小説のただの一行も覚えていない! しかも主人公が測量技士だということもすっかり忘却の彼方。おまけにラブシーンまであって仰天。そんな話だったっけぇ~????…

シュタージ関係2冊

映画「善き人のためのソナタ」を見る前に読んでおきたいのがこの2冊。見た後でもいいけどね。 監視国家 :東ドイツ秘密警察に引き裂かれた絆 / アナ・ファンダー著 伊達淳訳 白水社 2005.10 シュタージの人間と監視された人間の両方へのインタビュー。巻末の…

シュタージ関係2冊

映画「善き人のためのソナタ」を見る前に読んでおきたいのがこの2冊。見た後でもいいけどね。 (1)監視国家 :東ドイツ秘密警察に引き裂かれた絆 / アナ・ファンダー著 伊達淳訳 白水社 2005.10 シュタージの人間と監視された人間の両方へのインタビュー。…

善き人のためのソナタ

映画は、重く悲しい内容だったけれど、最後はホロリと来ました。とてもよかった。 ヴィースラーが「善き人のためのソナタ」を聴いて涙を流すシーンは、「リベリオン」の冷酷な取締官がイェーツの詩を読んで涙を流すシーンを思い出させる。人は美しいものに心…