2004-01-01から1年間の記事一覧
今年は映画豊年満作だった。大満足だ。いい映画をたくさん見られてとっても幸せな一年だった。本もわたしにしてはけっこうたくさん 読んだし。といっても多読家のみなさんには全然かなわないし、読んでも次々内容を忘れてしまう(どころかタイトルまで忘れて…
正月、4姉妹が次女の家に集まった。突然三女が「ねえ、お父さんに女がいるのよ。子どもまで!」と言い出して「えぇ~? だって70歳超えてるのよ、まさか」「ほんとなんだってば。興信所使って調べたんだから」「どうするの?」「お母さんにはとにかく内緒に…
空港から一歩も出られなくなり、入国も出国もままならなくなったらどうする? そのまま空港に住み着くハメになったら? そんな映画を作ってしまおう。このアイデアは卓抜だった。 ビクター・ナボルスキー(トム・ハンクス熱演。訛った英語がうまい!)はニュ…
台湾で長らくタブー視されていた1948年の「2.28事件」(中国本土からやって来た外省人=国民党と台湾人が衝突し、2万人を越える犠牲者が出たといわれる)を描いた作品。テオ・アンゲロプロス監督の「旅芸人の記録」にも似た作りにはなっているが、出来…
第二次大戦中、ドイツ軍は「エニグマ」と呼ばれるタイプライター様の暗号機を使っていた。これで発信した暗号のモールス信号を、別のエニグマ機で受信解読するのだ。エニグマ機は一万台を超える数が生産されていて、何台かはイギリス軍が入手していた。そし…
巻頭、懐かしい思い出が詰まったアルバムを見ながら一人語りする若者の声が流れる。ジョゼという少女と行った旅行の写真が次々と画面に現れる。せっかく行ったのに水族館は休館。砂浜では貝殻を拾った。ラブホテルの写真もある。「いや、これはそのぉ、あい…
わたしが映画ファンになった頃、毎月読んでいた雑誌『ロードショー』のグラビアを飾っていたのがジャクリーン・ビセットだった。その頃のグラビア常連女優はほかにカトリーヌ・ドヌーブやラクウェル・ウェルチなどがいた。ジャクリーンの映画はとうとう一度…
「フリーダ・カーロ展」は見逃したが、映画「フリーダ」をDVDで鑑賞した後、猛烈に彼女のことを知りたくなった。 この本は日本人による初のフリーダの評伝だ。と同時に著者堀尾真紀子のメキシコ・パリ紀行文でもある。 フリーダ・カーロといえば、一本に繋が…
メキシコの女性画家フリーダ・カーロの描く絵のようにシュールな演出が冴え、目が覚めるような色彩に溢れた快作。 フリーダ・カーロは高校生のときバス事故にあって瀕死の重傷を負い、その後遺症で常に痛み続ける体を持つことになる。身動きできない彼女の慰…
「インデペンデンス・デイ」でうんざりさせられたローランド・エメリッヒ監督、またしても地球の危機パニック映画を作りましたとさ。でも今回は、前みたいにアメリカナショナリズムやアメリカ万歳主義やアメリカ一国主義がかなり陰を潜めているので、とても…
無能な田舎刑事を演じたソン・ガンホの名演に拍手。まさに役にうってつけだ。彼と相棒の刑事二人がバカ丸出しで、たいへんコミカル。 悲惨で暗い話のはずなのだが、随所に戯画的な演出を挟み込んで重々しさを緩和している。ただ、そういうマンガチックな演出…
この映画は、全編手持ちカメラでしかも極端に接写してあるため、画面の揺れが激しく、気分が悪くなってくる。その上音楽がまったく流れてこないので、およそ映画を楽しむとか味わうといった情緒の辺境にある作品だ。わたしのようにブランコに酔うような人間…
ウオーレン・シュミットが66歳で定年を迎えたその日、彼はオフィスでじっと時計を見つめたまま固まっていた。まもなく5時だ。デスクの上にはなにもない。窓際にはダンボール箱がうずたかく積み上げられていて、彼の仕事はすべて終わり、あとはただ終業時刻を…
かつて、SONYのベータマックスとビクターのVHSが規格競争を繰り広げた時期があり、結果はVHSが勝利した、という出来事があった。20年ほど前の話だ。そういえばベータってあったよなあというぐらいにしか覚えていない。記憶の風化は早いものだ。 圧倒的な企業…
息が詰まるような感動作だ。難病の息子のために見を粉にする親の愛が素晴らしいとか、そういう類の感動ではない。親の愛のすさまじさに圧倒され腰が引けてしまう、そういった意味での感動作なのだ。 ロレンツォは6歳。遺伝性の難病副腎白質ジストロフィー(A…
去年一年のベスト10を選ぶ前に、キネマ旬報とわたしの趣味がどの程度一致しているのかを確かめたくて、やってみたこと。 一年前のキネマ旬報日本映画ベスト30は以下のようになっている。これをわたしの好みで並べ変えてみた。 こうやって見ると日本映画は小…