吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

ホイットニー ~オールウェイズ・ラヴ・ユー~

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 先日、ホイットニーの伝記映画を見たばかりなので、彼女の実像に迫るドキュメンタリーであるこの作品にも大いに興味をそそられた。あの悪名高き元夫のトム・ブラウンも登場してインタビューに答えているが、肝心の質問には「答えたくない」を繰り返すばかり。この男は結局何も反省していないのか? 本当に最低のカス人間だ。と言いたいところだが、こうやってインタビューに応じただけでもましなのかもしれない。

 この映画では貴重なプライベート映像もふんだんに使われていて、先の伝記映画ではまったく触れられていなかった、ホイットニーが幼児期に性的虐待を受けたことも暴かれていて驚くばかりだ。数多くの証言が、彼らの目に映った彼女の実像を復元する。それは身内でなければわからないことばかりだろう。

 改めて、彼女の成功に一族がぶら下がっていた構造がはっきりした。これは在日コリアンなどの移民にもみられる傾向だ。いや、日本人だってそうだろう。それがえげつなく顕現化しているかどうかの違いだけだ。

 また、同性愛のパートナーでありのちには親友になったロビンも登場して、彼女がかなりエキセントリックな人物であることも伝記映画よりもはっきりわかった。いろいろと興味深かったのだが、大きな成功を収めた人間がドラッグで潰れていく過程を見るのはつらい。これはドラッグ撲滅映画としてはっきり位置づけなおすべきではないか。多くの人材を音楽界はドラッグのせいで亡くしてしまった。その悲劇を繰り返さないためにも。(レンタルDVD)

2018
WHITNEY
イギリス  Color  120分
監督:ケヴィン・マクドナルド
製作:サイモン・チンほか
撮影:ネルソン・ヒューム
出演:ホイットニー・ヒューストンボビー・ブラウン、シシー・ヒューストン、ゲイリー・ガーランド=ヒューストン