吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2030年ごろかも。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2007-01-01から1年間の記事一覧

2007年のベスト10シネマ

今年見た映画は247本、そのうち映画館で101本を見た。映画館でたくさん見られて満足した一年だったが、それだけお金がかかっているわけで、財布が苦しい一年でもあった。わたしは劇場用パンフレットも買うから、その費用もバカにならなくてこれまたピンチの…

パリ空港の人々

スピルバーグ監督の「ターミナル」の元ネタと言われている作品だけれど、随分テイストが違う。これがアメリカ映画になるとかくもアグレッシブな自助努力ものになるのか、と今更ながらに驚きを禁じ得ない。その点おフランスではのんべんだらりとしたあなた任…

2007年のベスト10シネマ

今年見た映画は247本、そのうち映画館で101本を見た。映画館でたくさん見られて満足した一年だったが、それだけお金がかかっているわけで、財布が苦しい一年でもあった。わたしは劇場用パンフレットも買うから、その費用もバカにならなくてこれまたピンチの…

「現代思想」8月号

「ゆきゆきて、神軍」を夏に見て以来、「責任」という言葉が頭の中をめぐっていた。一億総無責任といわれる日本人の心性は江戸時代からあったようで、忘年会を開く民族は世界中で日本人だけらしい。江戸の末期に武士が始めた「年忘れの無礼講」が起源という…

俺たちフィギュアスケーター

今年最後のオバカ映画。今年は映画館で「サラバンド」を見初めして、締めはこの作品だから、その落差が激しすぎる(^o^)。宴会の後でも気楽に見られる、頭を使わない映画をと思って見にいったら、なんと劇場用パンフレットを製作していないとな。日本公開する…

セルロイド・クローゼット

日本文学をジェンダーの視点から読み直すという試みが上野千鶴子ほか著『男流文学論』だったように、これまでフェミニストによって文学テキストについては女の視点からの読み直し作業が行われている。これは、今まで何気なく読んでいた作品に底流する女性差…

ゆきゆきて、神軍

奥崎謙三という人物は不思議な多面性を持つ。なんの予備知識もなく見たら、開いた口がふさがらないような奇矯で過激な行動に猪突猛進するこの人物のドキュメンタリーに衝撃と驚きをもつに違いない。とにかく奥崎に対して違和感や嫌悪感を強烈に抱きつつ、な…

レディ・チャタレー

イギリス軍人がフランス語をしゃべるからのっけから驚いてしまったが、これはフランス映画だったのだ。ロレンスの作品をおフランス映画にするとこんな感じになりました。フランス語の響きが美しくて、庭園の光が明るく柔らかい。イギリスの暗い空やくすんだ…

愛より強く

家父長制の軛から逃れるために結婚するというのはありがちだし、よくわかる心理だ。しかし、結婚は父母という支配者から夫という支配者へとご主人様を替えるだけのことにすぎないとやがて多くの女性が気づくだろう。結局、自由はどこにもない。しかし、この…

生きる

1952年の市役所というのがこれほど怠惰で文字通りの「お役所仕事」に満ちていたとは正直言って思いがたいものがある。いや、もしこれが当時の役所の実情をかなりリアルに再現していたとして、隔世の感があるのだ。今のお役所は過労死する公務員がいるほどよ…

ダック・シーズン

う~ん、ジャームッシュ節! と思ったらメキシコ映画でした。しかし全編モノクロ映像といい、舞台がアパートの一室だけという安普請といい、脱力系のお笑いぶりといい、まるでジャームッシュ。 ママが留守の家では14歳の少年二人がお留守番。宅配ピザを頼ん…

ガンジー

小学生のときに『マハトマ・ガンジー』(誰が書いたものだったのだろう? ひょっとして自伝かも)を読んで素直に感動したものだ。印象に強く残っているのは、ガンジーが大金持ちの子弟であり、壮大な結婚式を挙げたこと、彼が徹底した菜食主義者であったこと…

地下鉄(メトロ)に乗って

原作者浅田次郎も登場します。どこで出てくるか当てましょう。 愛人と妻という三角関係の話のとき、観客はどっちの立場に立つか微妙だが、この映画の場合、間違いなく愛人側だ。物語もそのように誘導してある。楚々として美しく、控え目でどこか陰があり儚げ…

生きる

1952年の市役所というのがこれほど怠惰で文字通りの「お役所仕事」に満ちていたとは正直言って思いがたいものがある。いや、もしこれが当時の役所の実情をかなりリアルに再現していたとして、隔世の感があるのだ。今のお役所は過労死する公務員がいるほどよ…

その名にちなんで

小説を先に読み終えてから映画を鑑賞。映画は原作にほぼ忠実に作られていた。 小説を読みながら感じていたことは、「これは短編向けの文体じゃないの。これで長編は苦しいなぁ。ラヒリはやはり『停電の夜に』がよかった」。 映画を見ながら思っていたことは…

ゴスフォード・パーク

アルトマン監督お得意の群像劇。とはいえ、やたら登場人物が多くて、名前と顔を一致させるのが大変だ。物語がかなり先まで進んでもまだ誰が誰だかわからなかったりする。だが、最後には全員のキャラクターがちゃんと見分けがつくようになっていたから、これ…

ボーイズ・オン・ザ・サイド

楽しげでお気楽なロード・ムービーかと思えば、さにありなん。女3人、それぞれが困難や大問題や不治の病を抱えて生きているのだ。偶然にも3人で西海岸を目指すことになった3人だったけれど、ロードムービーのはずが途中下車して定住してしまう。そ、つまりこ…

最後の戦い

リュック・ベッソンのデビュー作だそうだ。こんな、好き者にしか受けないような映画も作ってたのね、ベッソンくん! モノクロで科白なし。サイレント映画ではないから効果音は入っているのだけれど、科白がないのでサイレントのごとき雰囲気。それだけに画面…

キルソドム 再会のとき

かつて、朝鮮戦争で離散した家族たちを探す番組がKBSーTVで驚異の視聴率を誇っていたということは知っていたし、その番組の中で再会成った家族が号泣して抱き合う姿も見たことがある。いつのまにかその番組もなくなったのだろうか、この映画はその番組を通し…

愛の風景

山崎まさよしのヒット曲に「セロリ」がある。こんな歌詞。 育ってきた環境が違うから 好き嫌いはイナメナイ 夏がダメだったり セロリが好きだったりするのね ましてや男と女だから すれ違いはしょうがない 妥協してみたり 多くを求めたりなっちゃうね ……… 元…

ホリデイ

「クリスマスに恋人と見たい映画」がまた一つ増えました。若者にお奨めしたいラブコメです。90歳のおじいさんが素敵でした! ジュード・ロウってほんとに美しいわぁ。うっとり。音楽も素敵。サウンドトラックが欲しくなった。 ロマンティック・ラブコメです…

ウディ・アレンの ザ・フロント

最後はちょっとかっこよすぎる? 劇場未公開作。確かに地味だし、劇場では受けなかっただろうと思われるが、わたしはけっこう惹きつけられた。この映画はウディ・アレン監督作かと勘違いしたが、監督は自身が赤狩りリストに載せられたマーティン・リットであ…

夫たち、妻たち

これは結婚生活も長い二組の夫婦の離婚をめぐる悲喜劇。作家で大学教授のゲイブと出版社勤務のジュディというインテリ夫婦のもとに、親友であるサリーとジャック夫婦がやってきて、「ぼくたち離婚するんだ、憎み合っているわけじゃない、二人で話し合って納…

アニー・ホール

トルーマン・カポーティのそっくりさんが登場したり、個人的には「ヒット!」と思うような場面がいっぱいあったのでとても楽しかった。それにしてもウディ・アレンのマシンガン・トークは全開ですね、この映画はインテリ向けに笑わせるネタが満載です。 ダイ…

白い馬の季節

日本ではさしずめ山田洋次監督が作るような作品、といえばいいのだろうか、清く正しく貧しい遊牧民が居住地を追われていく悲しい物語。 ユニクロが儲かると日本に降る黄砂が増えるという話がある。ユニクロのヒット商品カシミアセーターの増産のためにモンゴ…

ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記

またしても途中寝込んでしまいました。今年はたくさん映画館で映画を見たけれど、そのうちいったい何本を寝ずに見たのだろう? トホホです。 というわけで、肝心の謎解きの場面を寝過ごした可能性大。しかしこの映画、謎解き作品のくせにまったく頭を使わな…

M★A★S★H マッシュ

朝鮮戦争を題材にしながら実はベトナム戦争を批判していたという反戦コメディ映画。(ふーむ?) これは間違いなくコメディ映画だし、戦争中だというのにもうメチャクチャなことをしているんだけど、わたしは笑えなかった。一カ所もゲラゲラ笑うようなところ…

デブラ・ウィンガーを探して

女優のロザンナ・アークエットが40才を過ぎた女優達にインタビューしていくドキュメンタリー。ロザンナ自身が子育てと仕事の両立をめぐって悩んだことからこの映画を撮ることにしたという。 巻頭、「赤い靴」(1948年)で家庭をとるかバレエ(仕事)をとるか…

ELVIS エルヴィス

えらくテレビドラマっぽい映画だなと思っていたら、やっぱりテレビ映画だった。ジョナサン・リス=マイヤーズは正面から見るとエルヴィスに似ていないが、横顔やちょっとした表情はよく似ている。なによりも、右の上唇を引きつらせる癖をよく真似ていて、う…

素粒子

原作はフランスで大ヒットしたらしいけど、映画はドイツ作品です。たぶん原作はすごく面白いんだろうなと思ったので早速図書館に予約した。 別々に育った異父兄弟がまったく異なる性的趣向をもって成長し、それぞれが愛に苦しみ、真実の愛に生きていくという…