吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け

ついに終結、全9話が終わった。わたしはラストシーンで思わず涙してしまった。レイの最後のセリフに旋律を覚えて、このサーガの終わりに感動に打ち震えた。そして、続く長い長いエンドクレジットをあの壮大なテーマ曲とともに堪能した最後には劇場で拍手を送…

居眠り磐音

「いよっ、松坂屋!」と大向こうから声がかかりそうなほど、桃李くん、かっこいいです! 居眠りしているようにも見える構えから素晴らしい太刀さばきを見せる若き豊後関前藩士、坂崎磐音(さかざき・いわね)の波乱万丈の物語。 磐音の祝言前日に大きな事件…

ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男

この映画をみると主人公ニュートン・ナイトの伝記を読みたくなる。それほど、ニュートン・ナイトが魅力的な人物として描かれているからだ。南北戦争時代に南軍から脱走した兵士や黒人奴隷たちを集めて武装蜂起し、コミューンを打ち立てた人物がいたとは! ま…

ロング,ロングバケーション

認知症の夫と末期癌の妻がキャンピングカーに乗って人生最期の旅に出た。目的地は夫が敬愛するヘミングウェイの生家。国語教師だった夫はどんなに頭がぼけてもヘミングウェイの小説は暗誦することができる。美しく気丈な妻は昼間は鬘を被って残り少ない頭髪…

アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲 2019

前作ファンとしては(をい、ほんとにファンと言っていいのか)続編は当然見るのである。しかし続編はまったく続編じゃなかった!(笑) ナチスの残党が月から攻めてくるという大筋は見事に無視されていて、全然ちがう設定になっている。放射能が蔓延して人が…

家族を想うとき

わたしはエンドクレジットを見ながら、「ケン・ローチがどれほどの怒りを込めてこの映画を作ったことか」と心の中でつぶやいた。「そして、どれほどの愛情を労働者階級に注いだのか」と胸が熱くなる思いがした。 前作「わたしは、ダニエル・ブレイク」と同じ…

トレイン・ミッション

ご都合主義も極まれり、というありえない設定だけれど面白いから許す。 リーアム・ニーソンが登場すると、とりあえずダイハードな展開だな、ということは予測可能。で、その通りに話は進む。これが気持ちいいのである。今回は通勤列車内で起きる「普段の通勤…

アルキメデスの大戦

7月末に見た映画。予想外に面白かったので、思わず原作漫画を電子版で購入してしまった。で、この映画は原作のほんのさわりの部分を描いただけに過ぎないということがわかった。わたしは原作のもつ歴史描写に引き込まれたと同時に、メカの絵ぢからに大いに感…

ちいさな独裁者

撮影が凝っている。最初ほとんどモノクロの画面から始まって徐々に色がついていく。ほとんど観客には悟られないぐらいのゆっくりしたペースで、気づいたらいつのまにかうっすらと色がついている、という感じ。かと思えばまたまたいつの間にかモノクロに戻っ…

ちょっと今から仕事やめてくる

ブラック企業の営業マンとして働く若き主人公が疲れ果てて思わず駅のホームから線路に倒れこみそうになった瞬間に彼を助けた人間は、超久しぶりに会う小学校の同級生だった。その後、飲み屋に直行して乾杯した二人は徐々に仲良くなり、死ぬほど苦労していた…

男はつらいよ お帰り 寅さん

山田洋次監督の「家族はつらいよ」では泣けないのに、「男はつらいよ」は大河ドラマの総集編みたいな今回の「お帰り寅さん」でさえ泣いてしまう。そのぐらい多くの人の、特に中高年の琴線に触れるものがあるのがこのシリーズだ。 お帰りといっても寅さんが実…

カツベン! 

活動写真弁士が大活躍していた大正時代の映画館を舞台に繰り広げられる、映画愛に溢れたコメディ。最後は大立回りのアクション映画に! 大笑いして楽しめる、映画ファンのための一作。 1916年、(大正5年)貧しい子供時代を過ごす俊太郎と梅子は活動写真が大…

第三夫人と髪飾り

夢の中にいるような気分にさせてくれる、桃源郷の物語。いやそれは、19世紀を生きた女たちの生と性と、そして生と死の物語だ。監督自身の曾祖母の人生を元に描かれたという。 今では観光地として知られているベトナム北部の世界遺産の景観は、山肌を縫うよう…

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ

この映画を見れば不思議なことにマクドナルドのハンバーガーを食べたくなる。あんなに不味いのに! マクドナルド帝国はどのようにできあがったのかを赤裸々に描く伝記映画。ファウンダー(創業者)はレイ・クロックだが、彼は片田舎のマクドナルド兄弟が始め…

 決算!忠臣蔵

こんなにユニークで面白おかしい忠臣蔵は初めてだ。ネット上の評価は芳しくないが、わたしはとっても楽しめた。これは正統派忠臣蔵を知っている人でないと楽しめないので初心者にはハードルが高ったと思われる。登場人物がいったいどういうキャラクターなの…

イエスタデイ

映画館の中はもちろん中高年の観客だらけ。地味にロングランしてくれるおかげでやっと見に行くことができた。やっぱりいいねえ、ビートルズは。 世界中の誰もビートルズを知らなくて、自分だけが知っていたら?などという映画のストーリを思い付いたアイデア…

勝手にふるえてろ

小説が原作というのがよくわかる映画だ。主人公がしゃべりまくる。それも独り言のように。それが幻想だったり妄想だったりするのをスルーっと楽しく場面を飛ばしてセリフでつなぐ演出が小気味よい。 コメディらしく妄想女の片思いをさらりさらりと笑い飛ばし…

偽りの忠誠 ナチスが愛した女

これは意外な拾い物。 退位したドイツ皇帝ヴィルヘルム二世がその後どうなったのかまったく知らなかったので、それがわかるというだけでもとても興味深い。どこまでが史実なのかわからないが、よくできたスパイ恋愛ものと言える。 ただし、出演者全員が英語…