10年ぶりのシリーズ新作、第4弾。
第1作は脳みそを1ミリも使わない作品で途中退屈してしまったが、続編はひねりもあり、多少は頭脳も使っている形跡があったので面白く見ることができた。で、もう終わりやんねと思ったら第3作まであって、それはまたまた脳みそ不要の内容だったが、その代わりに驚異のバイクスタントで度肝を抜かれたものだ。それから10年、まさかまさかの続編。って、エクスペンダブルズ(消耗品)と自称する傭兵たちもすっかり年老いているはず。いったいどうやって映画にするんだろ?
などというのは要らぬ心配であった。巻頭いきなりの爆裂!砲弾!爆走! いやもうこれだけ火薬使ったら火薬メーカーの売り上げに貢献できたでしょ。しかし戦車や軍用トラックが炸裂して飛び跳ねるこの場面は現実世界の戦争を想起させて、つらいものがある。こういうアクションは映画の中だけにしよう。
バーニー(シルベスター・スタローン)が率いるエクスペンダブルズは今やすっかり老兵軍団となった。ドルフ・ラングレンの老けぶりには驚いたが、老眼なので標的を外してしまうあたりの悲哀がまた笑いを誘うネタになっているのも面白い。
今回のエクスペンダブルズはこれまでとかなり作風が異なっている。情緒に訴える場面が多くて、なによりも巻頭まもなくバーニーが殉死してしまうのが衝撃だ。だから本作はバーニーの弔い合戦でもあるわけで、なにかというとクリスマス(ジェイソン・ステイサム)が「バーニーの仇を」みたいにしみじみするのが感慨深い。仲間の結束や友情も篤く、第1作のおちゃらけが減っている。とはいえ、笑える場面は随所に作ってある。第3作で新メンバーとして登場したアントニオ・バンデラスは今回は出てこないが、代わりに彼の息子が加わった。父親譲りのマシンガントークぶりを見せるのだが、父親が無意味におしゃべりだったのに比べると、息子の方はなにやら深遠なセリフを意味不明にまくしたてるところが見どころ。
今回は船上バトルが展開し、狭い船の中でどうやってバイクアクションを見せるのかと思ったら、この狭さを逆手にとってスリル溢れるシーンが続く。驚異のバイク空中演技には、新体操かい!と突っ込みたくなる。身体はちぎれるわ、ぺしゃんこになるわで観客サービス精神にあふれまくって煮えたぎっているので、ぜひ劇場の大きなスクリーンで堪能されたい(R-15です)。
アメリカ映画は核兵器の描写がずさんなのが伝統で、本作でもそこはどうしても気になるが、荒唐無稽な映画の中だからやむを得ないとしておこう。老人賛歌の映画が増えたものだが、ほんと戦場は映画の中だけにしてほしい。
2023
EXPEND4BLES
アメリカ Color
監督:スコット・ウォー
出演:ジェイソン・ステイサム
50 Cent
ミーガン・フォックス
ドルフ・ラングレン
トニー・ジャー
イコ・ウワイス
ランディ・クートゥア
アンディ・ガルシア
シルヴェスター・スタローン