吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。

NOPE ノープ

怖いのか怖くないのか微妙な話。笑えるのか笑えないのかも微妙なところ。相変わらずジョーダン・ピール監督は常識を破っていく作風に熱心だ。 物語は、西部劇を思わせるようなロサンゼルス郊外のド田舎の牧場が舞台になっている。映画撮影用の馬を飼育してい…

キャメラを止めるな!

え? まさか?! ほんとにまさかの驚き。こんな映画(失礼!)をフランスでですよ、しかもアカデミー賞を受賞しているような監督がですよ! リメイクするわけ? それだけで笑った。笑うだけでは飽き足らず、映画館まで見に行ってしまったではないか。わたし…

地下室のヘンな穴

こんな変なタイトルの映画が公開されるなんて、それだけでもぞくぞくするではないか。配給のロングライドはいつもいい映画を選んでくれていて、たいそうありがたい。今回もこの映画をよくぞ買い付けてくれました! しかしもうちょっと頑張って宣伝してほしい…

ブレット・トレイン

この映画はフランス在住の愚息Y太郎(31歳)が先に見て、「アホすぎて疲れた。二日酔いのタランティーノが書いた脚本を園子温が撮ったみたいな映画やった。見るだけでIQが30くらい下がる」という感想を送ってきたので、逆にすごく見たくなったのであった。 …

ゴダール逝く

TwitterとFacebookには既に投稿した記事、こちらにも再掲。 ゴダール死去の報にそれなりの衝撃を受けたのだが、もう91歳の巨匠はいつ死んでも不思議はない。人はいつか逝く。しかしそれがどうやら自死だったらしいと知ってもっと衝撃を受けている。 スイスは…

レミニセンス

「時よ止まれ 君は美しい」はゲーテの言葉だった。そんなタイトルのドキュメンタリー映画も作られた。そして、「時よ止まれ」という切羽詰まった思いにかられる人々も少なくないのではと思う。至福の時間が流れて消えていく、その刹那を愛おしく思うとき、人…

グリード ファストファッション帝国の真実

タイトルが「グリード」ですよ! つまり、「強欲」。これって七つの大罪の一つのはず。そんなタイトルを背負わされたヒーローは誰かと言うと、イギリスのアパレル界の成功者、リチャード・マクリディ卿。この映画は実在のモデルがいて、そのモデルをこれでも…

岡本太郎の沖縄 完全版

「芸術は爆発だ!」という流行語も生んだ奇矯の芸術家、岡本太郎。アバンギャルド(前衛芸術)に生きた太郎が、「ついに自分自身に出会った」と語ったのが沖縄への二度の旅であった。本作は、1959年と66年に太郎が撮影した大量の写真と映像、そして彼…

キングスマン:ファースト・エージェント

今年の2月に鑑賞したのだが、今頃アップ。 いままでのキングズマンで一番面白かった。その理由は歴史劇であったこと。歴史といっても大昔ではなく第1次世界大戦が舞台になっている。キングズマン誕生の舞台裏が語られていて、その壮大な歴史が解き明かされる…

パワー・オブ・ザ・ドッグ

この作品がアカデミー賞作品賞にノミネートされたことがまずは驚きだ。このようなハリウッド映画らしくない作品(とはいえ、遅れてきた西部劇という風情はある)がアカデミー会員に受け入れられたということは慶賀である。この映画の雄大な映像を見れば、こ…

ジョーンの秘密

非常に興味深く見ることができた作品。事実に基づくと言いながら、ジョーンの人生についてはかなり創作されているようだ。 主人公ジョーン・スタンリーは年老いて夫に先立たれ、静かに一人暮らしをしていたが、ある日突然逮捕される。それは50年以上前にソ連…

コーダ あいのうた

今年2月に観た映画だが、今頃アップ。鑑賞当時、アカデミー賞最有力とか言われていた作品。さすがに大変面白くまた感動できるものだった。唯一、並み居るコーラス部員たちの中で一際目立つほどの歌の素質があるはずの主人公の歌がたいしたことなかったってこ…

1941 モスクワ攻防戦80年目の真実

わたしは本作を1月に観たのだが、ウクライナへの侵攻が始まって半年近くが経とうとする今、改めてロシア人のナショナリズムを鼓舞する戦争映画だったと思い出す。 ドツが独ソ不可侵条約を突然破棄して大戦車隊を組織してモスクワ目指してやってきている! こ…

偶然と想像

今年の正月に映画館で見た映画。2022年の初映画であり、おみくじで大吉が当たったような興奮と満足感を得られた作品だった。 3部オムニバスの物語はそれぞれが「偶然」をテーマに展開する。3つの話に共通点はなく、それぞれが完全に独立している。共通するの…

ドント・ルック・アップ

大笑いしながら見た。近年まれにみるあほらしいドタバタコメディ。でも役者が豪華な分、いろいろと見せ場があって、最後はすごくシリアス。ラストの長い長いエンドクレジットが終わってからボーナスカットがある。これも笑える。 物語は、地球に彗星が衝突す…

パーム・スプリングス

去年劇場で見たのだけれど、結末を忘れてしまったし途中経過もかなり忘れているので、Amazonプライムで配信が始まったのをよい機会に再見。もちろんiPadで、夜寝る前にベッドの中で小刻みに見た。 タイムループものは珍しくないんだけれど、同じ1日を繰り返…

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者

ふつうの映画2本分の内容はたっぷり入っているので、1本で二度おいしいお得な映画! その分、とっても疲れるけどそれはそれでまあ良しとしよう。 このシリーズは全部映画館で観ているわたくしは、ジュラシック・パーク三部作も全部DVDを持っているのである。…

エルヴィス

ロックの帝王エルヴィス・プレスリーの伝記映画なのだから、さぞや大ヒットかと思いきや、予想に反して苦戦しているらしい。その理由はなんとなくわかる。「ボヘミアン・ラプソディー」が伝説のコンサート「ライブ・エイド」で盛り上げて終わったのに対して…

ベイビー・ブローカー

原題は「ブローカー」。製作会社のロゴが漢字とハングルの組み合わせで「家」という意味のマークを作字しているのが面白い。 さて巻頭、ポン・ジュノ監督の「パラサイト」へのオマージュかと思わせる、夜の大雨が打ち付ける急坂の階段が映る。「パラサイト」…

オフィシャル・シークレット

長さをまったく感じさせない、緊迫感が最後まで持続する社会派作品。実話というのが驚くべきで、地味な展開にも拘わらず観客をつかんでいくのは演出の的確さの賜物だろう。キーラ・ナイトレイも渾身の演技を見せる。 さて物語は。2001年の911テロの後、ブッ…

教育と愛国

非常に抑制の効いた撮り方に感動する一作だ。 冒頭、”「おはようございます」という挨拶とお辞儀は同時にするのがよいのか” を問う場面が現れる。信じがたいことにこれは道徳の教科書に載っていることなのだ。なんでそんなどうでもいいことが道徳の教科書に…

私のはなし 部落のはなし

一人の学生が、屠場(とじょう)の人々を撮影した「にくのひと」というドキュメンタリー映画を作った。思いのほか評判を呼んで劇場公開にこぎつけるところまで行ったが、部落解放同盟兵庫県連合会の抗議を受けて、作品はお蔵入りとなった。それから10年、か…

焼け跡クロニクル

「焼け跡」は比喩じゃなくて、本当に火事で焼けたての、まだ消防車や救急車がサイレンを鳴らしている様子から映画が始まる。2018年、この映画の監督一家5人が暮らしていた京都の家が全焼してしまう。大事な撮影素材や機材を持ち出そうと原將人監督は火の中に…

アイリッシュマン

ヤクザ映画は嫌いなのだが、これはネットフリックス製作の配信映画にもかかわらずアカデミー賞に10部門ぐらいノミネートされたので、記憶に残っていた。 で、その結果。前半はかなり爆睡してしまったのだが、その原因は酔っぱらって観ていたからであり、素面…

2021年映画のマイベスト

毎日映画コンクールやキネマ旬報の発表は既に終わり、アカデミー賞の発表もそろそろのようで、ようやくわたしも去年の映画を振り返る余裕ができた。いや実はもう年度末を迎えて切羽詰まっているのである。いま書かないともう今年は書けないので、無理やりに…

すばらしき世界

2021年11月鑑賞。 元ヤクザの心優しき男がなんとか更生しようと懸命に努力しながらもなかなかうまくいかないという、可笑しくも悲しく切ない物語。 殺人犯としての刑期を終えて出所した三上正夫(役所広司)は身元引受人となってくれた弁護士夫婦の元へやっ…

白頭山(ペクトゥサン)大噴火

一回目の鑑賞では途中爆睡。気を取り直して後日2回目の鑑賞では1.3倍~2倍速で見た部分も多いので、話がサクサク進んで楽しかったし、よくわかった。いやあ、最近は映画を一回見ただけでは理解できなくなってきているよ、わたしの脳みそやばい。 そもそも白…

コレクティブ 国家の嘘

2021年10月鑑賞。 この映画はドキュメンタリーであることが信じられないほどにドラマティックに仕上がっているのが驚きの一作である。タイトルの「コレクティブ」は2015年に火災が起きたライブハウスの名称。映画の冒頭で、このライブハウスで行われているラ…

アメリカン・ユートピア

7/15に鑑賞。 面白いという前評判をうろ覚えで見に行ったので、音楽パフォーマンスの記録だとは知らなかった。てっきりブロードウェイのお芝居かなにかを見せてくれるのかと思ったら、 そうではなくて、でも「なんじゃこりゃ?」とつまらなく思った冒頭から…

JUNK HEAD

2021年6月末に見た。 驚異的な映画である。よくこんなものをほとんど一人で作ったな、と驚嘆したものだ。ストップモーションアニメは究極のアナログ作業だ。やはり完成までに7年もかかったという。その緻密な造形には恐れ入るが、なによりも、原作・脚本・監…