2024-01-01から1年間の記事一覧
なにかお気楽に観られるようなアクション映画でも。と思って見始めたのだが、お気楽な映画ではなかった。これは2007年に実際に起きた、タリバンによる韓国人23人拉致事件を元にした作品で、確かにカーチェイスの場面などは映画的な見せ場を作るためのフィク…
「生きてこそ」という映画でも描かれた実話。前の映画のことをあまり覚えていないのだが、はるかに本作のほうがリアルで、人物の心理がじっくりと描かれているように思う。 本作は、1972年に実際に起きた雪のアンデス山中への飛行機墜落事故と、その後奇跡の…
「脚本家ジェームズ・グラハムが育ったノッティンガムシャーの集落で実際に起き、英国全土を震撼させた2つの悲劇的殺人事件に着想を得て作られた作品」(日本版公式サイトより)。 これは大変示唆に富んだドラマだ。殺人事件を追う普通の刑事ものかと思わせ…
11月18日鑑賞。なんと、劇場用パンフレットを作成していないとな! 復習のためというべきか予習のためというべきか、Amazonプライムビデオの配信で前作を再見した。20年以上前に見た時にはあまり面白いと思えなかった作品なのに、今回見直したらすごく感心し…
ここ数日の韓国非常戒厳令騒ぎとそれを撤回させた民衆の力に驚き感動していたら、9月にこの映画を見たことを思いだした。 韓国で歴史的大ヒットを記録したという実録もの。確かに最後まで強度の緊張が続く、面白い作品。結末を知っていても手に汗握らせる演…
本作は10月9日に冤罪が晴れて無罪が確定した元死刑囚、袴田巌の生涯を追うドキュメンタリーである。まさに時宜にかなった公開といえよう。 冒頭、袴田が警官から逮捕状を読み上げられる声が流れる。袴田巌30歳。彼は観念したかのように投げやりな応答をして…
これは震え上がるほど恐ろしい映画だ。戦争アクションものとしての迫力や没入感が高すぎる。原題の”CIVIL WAR”にはTHE が付かないから、南北戦争ではなく、単なる「内戦」という、”まだ名付けられていない戦争”という含意があるのだろう。 映画が始まった瞬…
8月の公開からロングランしているのやさぞや面白いのだろうと思って期待して見に行った。だいたいが期待外れになることが多いのだが、これは確かに面白い。見終わった後も映画館で観て良かったと思える。とはいえ、細部の設定などはかなり無理があるし、犯行…
なぜ「わたしの物語」なのかと言えば、私小説ならぬ「私映像」、セルフ・ポートレート・ドキュメンタリーだから。生まれながらに股関節が無く、大腿骨も短い「障害者」である二十代の映画監督エラ・グレンディニングの「わたしの物語」は「わたしを肯定する…
原作は漫画かなと思ったほどにドタバタが過ぎるコメディ時代劇。最後のほう、討ち入りの段になってやっと少しだけシリアスな場面も出てくるのだが、こんな奇想天外な展開を考えた原作者が偉い。 で、原作者が脚本を書いているから原作もこんなふうにコメディ…
今年3月末に映画館で鑑賞した。 この作品はわたしがこれまで見た変な映画のうち3本の指に入る。1本は「タクシデルミア」で、もう1本はなんだろ。思い出せない。本作は最初から最後まで変だったし、魚眼カメラみたいなのを多用するのは「女王陛下のお気に入り…
タイトルからしてちょっとビビッていたのだが、巻頭いきなりおじさんがノグソ(野糞)するシーンに度肝を抜かれた。おじさんだけではない。うら若き乙女も野糞するのである。しかもその糞を1週間後ぐらいに掘り起こして、どれだけ虫さんたちが分解したかを科…
上映最終日にかろうじて滑り込み。 ナチスものはもう飽きた、という観客でもこの作品の目の付け所の新鮮さに驚くだろう。しかし映画として面白いかどうかは別問題。音楽も暗くて不気味で物語性もほとんどなく、ただ演出に工夫があるので「ほお」と驚かされる…
マミーとは、和歌山毒物カレー事件の犯人として死刑判決が確定した林眞須美死刑囚のことである。本作はこの事件の真相を追うドキュメンタリー。監督はこの事件が冤罪であると確信して取材を続けている。 映画は和歌山の海岸から始まる。海の上からカメラが海…
台湾映画の「1秒先の彼女」のリメイク。オリジナル主人公カップルの男女をひっくり返して舞台を日本に移してきた、ということだが、オリジナルをすっかり忘れているので、割と新鮮な目で見ることができた。 物語の舞台が日本というだけではなく京都になった…
2月に見たアニメ、今頃だけれど感想を。 わたしは既に配信でテレビ版の全話を見ていたので、とても楽しみにしていた。この映画はテレビ版を見ていない観客にも理解できるように、基本の設定をナレーションでちゃんと説明してくれる。 時代はおそらく1960年ご…
てっきり19世紀後半の話だと思い込んで見始めたら、「戦後のイタリアでは……」というセリフが出てきて、「え? 戦後? 戦後ってどの戦争?」と頭が混乱しているうちに、画面には「2010年の国勢調査に協力してください」とがなり立てる宣伝カーが登場するので…
2月に映画館で鑑賞。 原作漫画は大変話題になったがわたしは未読。既に連載が終わっているので、この物語の結末はわかっている(ことになっている)。 本作の主人公は日露戦争の二百三高地の激戦を生き残った「不死身の杉元」こと杉元佐一。彼はアイヌの人々…
タイトルの意味はアメリカ先住民たちが「花殺し月」と呼ぶ、五月の満月の夜祭りに由来するらしい。オクラホマ州の居留地に追いやられた”インディアン”のオセージ族は、その祭りの最中に地中から噴き出た石油のおかげで大金持ちになる。やがて彼らの町は豊か…
毎晩ベッドにiPadを持ち込んで映像を見ることがすっかり習慣になってしまって早や数年? これまた寝床で見たドラマ。そのまま寝落ちしてしまうこともたびたびあったが、とにかく一応面白く見終わった。 本作は実話に基づく物語だという。しかしこんな実話が…
アフガニスタンに駐留する米軍兵士が、命の恩人のアフガン人通訳との「コヴェナント(契約、誓約を意味する聖書の言葉)」を命がけで果たそうとする社会派作品。 ガイ・リッチー監督に「社会派」は似合わないと思ったのだが、いつもの派手なコメディ的演出は…
いま最も旬の役者の一人、井浦新の最新作はアメリカ映画である。しかも彼らしいと言えばいいのか、ハリウッドの大作ではなくインディーズ(独立プロ)系の作品に主演。大手食品商社の社員として大きな買収プロジェクトを成功させるなど、上昇志向に乗ってが…
1992年に福岡県飯塚市で起きた、女児二名殺害事件は既に「犯人」久間三千年(くまみちとし)が死刑を執行されている。だが今、その裁判は間違いだったと、久間の遺族が二度目の再審請求を行っている。その再審の可否がいよいよ6月5日に下されるというニ…
ほとんど事前の情報なしで見て正解。意外な展開になっていくのが面白くて、最後まで惹き付けられて見ていた。現代オペラをまったく知らないわたしにとって、新作オペラを映画館で垣間見られたことが大いなる収穫だった。 ストーリーは、親世代の夫婦の危機と…
「原爆の父」と呼ばれたロバート・オッペンハイマーの伝記映画にして、見ごたえのある作品だった。冒頭に、神から火を盗んで人類に与えたプロメテウスが罰として拷問を受けたということが提示される。核爆弾がまさにプロメテウスの火であったことが描かれる…
そして、今公開中の続編である。これも面白い。前作は、描かれた時代を知らない井上淳一と白石和彌が脚本と監督を務めたが、この続編は井上淳一の体験を元に脚本が書かれているため、学生時代の井上の怒りや葛藤や希望や嫉妬など、様々な思いが直に伝わって…
どこから見ても面白い。若松プロの事務所の冷蔵庫には鍵がかけられているとか、笑えるエピソードだらけだ。やはり若松孝二その人のキャラクターの特異さが際立っているし、70年安保当時の若者たちの無軌道ぶりやエネルギーがこの映画のキモとなる。しかし同…
いよいよ明日(3月8日)は日本アカデミー賞の授賞式、そして10日は本家アメリカの授賞式というタイミングでようやくわたしもマイベストを選んでみた。ベストを選ぶほど映画を見ていないのにおこがましいことこの上ないけど、いちおう…… 2023年は映画館で32本…
10年ぶりのシリーズ新作、第4弾。 第1作は脳みそを1ミリも使わない作品で途中退屈してしまったが、続編はひねりもあり、多少は頭脳も使っている形跡があったので面白く見ることができた。で、もう終わりやんねと思ったら第3作まであって、それはまたまた脳み…