吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2010-01-01から1年間の記事一覧

最後の忠臣蔵

16年後の「忠臣蔵」を描く。 今年は時代劇の一年だった。その締めくくりの一作には大いに泣かされた。あんまり泣いたので、帰りの車の運転に支障が出るほどだった。 赤穂浪士の討ち入り前夜に命惜しさに逐電したと思われていた瀬尾孫左衛門(役所広司)は、…

武士の家計簿

原作本を読んだのはいつのことだったか、たぶん出版された2003年に読んでいる。これがまさか映画になるとは思いもしなかった。いったいどうやってあの歴史書を映画にするのだろうかという好奇心が先立つ作品である。そして仕上がりがあっと驚くホームドラマ…

バーン・アフター・リーディング

確かにコーエン兄弟らしいシニカルなユーモアには違いないし、ふとしたことで踏み外した階段から転がり落ちて地獄へ真っ逆さま…てな感じは相変わらずたいへん面白いのですが…。どういうわけか、キレがいまいち。CIAをコケにするお話で、元を質せば全身整形手…

カイロの紫のバラ

ウッディ・アレン監督が選ぶ自作ベスト6は以下の通り。 ▽「カメレオンマン」(83) ▽「カイロの紫のバラ」(85) ▽「夫たち、妻たち」(92) ▽「ブロードウェイと銃弾」(94) ▽「マッチポイント」(05) ▽「それでも恋するバルセロナ」(08) この6作の中に…

宮廷画家ゴヤは見た

波瀾万丈のスペイン近代史。スタッフとキャストが国際色豊かなのにも目を引かれる。 拷問された囚人達が囚われている地下牢の様子はゴヤの絵そのままのおどろおどろしさだ。思わず大塚国際美術館の「ゴヤの部屋」を思い出して身震いした。 教条主義者は、ひ…

おつむて・ん・て・ん・クリニック

面白すぎる。 どういうわけか珍しくS次郎と一緒にDVD鑑賞。30分ほど経ったところでSが「これってコメディ?」とお間抜けな質問を。「あんだけさんざん笑っておいて、コメディかどうかわかれへんの?!」と母は絶句したのであった。 コメディかどうかわからな…

カールじいさんの空飛ぶ家

巻頭10数分のすばらしさ! この巻頭10分は歴史に残る名作です。幼い二人が出会ってやがて結婚し、老いて妻が先に亡くなる。この何十年もの二人のふれあいを10分で描き、しかも泣かせるこのテクニックはただものではありません。 ところが、妻に先立たれたカ…

ロビン・フッド

金がかかっていることをまざまざと実感する作品。これは絶対劇場で見るべき。 リドリー・スコットの史劇では、「キングダム・オブ・ヘブン」に続く十字軍遠征ものである。かの有名な「義賊」ロビン・フッドを描くわけだが、ロビンが英雄になるまでのお話なの…

まなざしの長さをはかって

片田舎に美しい代理教師マーラがやってきた。たちまち、彼女の存在は田舎の男たちの間に波紋を呼ぶ。マーラに惹かれる男たちはなんとか彼女に近づこうとして…。 ジャーナリストの卵ジョバンニ、、チュニジア人移民の自動車工ハッサン、バスの運転手、タバコ…

酔いがさめたらうちに帰ろう。

しみじみといい映画。アルコール依存症と癌で死んでいく悲惨な話なのにユーモラスなのは、原作者(主人公)が自分を客観視して見ることができるからだろう。 「毎日新聞」で毎週日曜日に連載されている「毎日かあさん」という漫画はカラーでとても楽しい。そ…

アメリア 永遠の翼

一ヶ月以上前に試写会にて。いつも試写会に招待してくれるパープルローズさん、ありがとう! (来年も期待しています) 役者がうまいから安心して見られる。ヒラリスワンクはアメリアそっくり。ただし、これはヒットしないと直感させる映画だ。この映画が日…

幻影師アイゼンハイム

これは面白い! 最後のどんでん返しは予想通りだったけど、それでも引き込まれて見てしまった。 こういう映画を見ると、歴史的背景に興味がわく。「プレステージ」を思い出す。 19世紀のオーストリアが舞台。史実であるオーストリア皇帝と皇太子の確執を物語…

アブバとヤーバ

スーダンと日本のアブバとヤーバ(おじいさんとおばあさん)を描いたドキュメンタリー。 映画リテラシーがないと、意図が汲みとりにくい作品だ。取材地はスーダン2カ所、日本2カ所。インタビューに答えるのは老人たち。スーダンの老人は戦争と病気によって息…

いよいよ明日、「アブバとヤーバ」上映会

明日、12月19日にドキュメンタリー映画の上映会があります。アフリカを描いたドキュメンタリー映画はなかなか見る機会もないので、ぜひご覧ください。入場無料。 わたしはもちろん参加予定。 映画の公式ブログはhttp://abubayaaba.blog42.fc2.com/ 大宮監…

「三池 終わらない炭鉱(やま)の物語」上映会のお知らせ

<上映会は、立ち見が出るほどの盛況でした。ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。特別展示「三池争議から50年」も無事終了しました。2010.12.18追記。> わたしが館長(兼雑用係)を務めるエル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)では、映…

レオニー

ネットで予告編を見た長男Y太郎が、「美術と照明がいい仕事してる」と言っていた。後で劇場用パンフレットを読んでわかったが、照明は黒澤組だそうな。さすが、いい仕事しているというYの目に狂いはなさそうだ。 日米合作映画でしかも日米でスタッフが違うと…