吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

エノーラ・ホームズの事件簿2

 

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 シリーズ第2作。イギリス労働運動史上名高いマッチ女工ストライキを題材にしている、労働映画である。第1作にも勝るとも劣らない面白さ。これは第3作もぜひ作ってほしいものだ。

 マッチ女工ストライキ1888年に起きたのだが、シャーロック・ホームズの時代はもう少し古い。だから、時代をわざとずらしてあって、このシリーズでは史実を忠実には再現していない。というか、そもそもシャーロック・ホームズじだいが架空の人物なんだから、時代なんていつでもいいようなものだね。Wikipediaによると、1854年生まれ説が有力だそうなので、この争議が起きたときは34歳か。あれ? 割と年齢が合ってる?

 まあ、それはともかく、相変わらず賢くて可愛いエノーラは、若き侯爵とともに大活躍するのである。そして、マッチ工場で働く女性労働者たち(移民も多い)が職業病で次々亡くなっていくのはマッチのせいであることを突き止め、労働者たちに立ち上がることを訴える。この場面は最高に感動的なので必見。

 このシリーズは前作が女性参政権問題を取り上げ、第2作が女子労働者たちの闘いを描くというように、完璧に女性活躍推進物語である。とてもテンポの良い楽しい物語であると同時に社会派作であるところが見ごたえあり。(Netflix)    

2022
ENOLA HOLMES 2
イギリス / アメリカ  Color  130分
監督:ハリー・ブラッドビア
原作:ナンシー・スプリンガー
脚本:ジャック・ソーン
撮影:ジャイルズ・ナットジェンズ
音楽:ダニエル・ペンバートン
出演:ミリー・ボビー・ブラウンヘンリー・カヴィルデヴィッド・シューリス、ルイス・パートリッジ、ヘレナ・ボナム・カーター、スーザン・ウォーコマ、アディール・アクタル、シャロン・ダンカン=ブルースター