吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2030年ごろかも。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2008-01-01から1年間の記事一覧

オフサイド・ガールズ

わたしはてっきり女子サッカーの話だと思っていたのだけれど、全然違った。また、サッカー競技場でロケしているにもかかわらず、サッカーの場面は一切登場しません。 劇場で見たときは体調が悪くてほとんど全編寝てしまったので、一大奮起してDVDで再挑戦。…

ヴィーナス

年老いた女性は例えば「マルタのやさしい刺繍」のマルタのように、夫によって禁じられていた職業生活への渇望を取り戻し、生き生きと蘇ることができる。夫に先立たれた女性は前より元気になるというのはよく聞く話だが、男の場合はどうなのだろう。職業生活…

クリクリのいた夏

「やかまし村の子どもたち」のような風景が続くほのぼのした物語であるけれど、何も事件が起こらない平和なやかまし村に比べて、このクリクリの住む村には戦争の傷を負った人が住み、やがて次の戦争でまた人々が死ぬというその暗い谷間の物語がほのかに戦争…

地球が静止する日

大がかりな話のはずなのに、あんな安易なラストではいかんやろ~! それに、てっきり地球が自転を停止してその反動で地上にいる生物が皆振り落とされて宇宙空間に飛び出してしまうのかと思ったが、そもそも地球が静止するという話ではなかった。 「ウェスト…

ワールド・オブ・ライズ

リドリー・スコットも手すさびで「プロヴァンスの贈り物」なんて作ってるより、こういう本格的サスペンスアクションを撮るほうがやっぱり性に合ってるんではないでしょうか。なかなかの作品なのに、わたしの隣席の中年男性は何度もあっちの世界に行ってしま…

ワールド・オブ・ライズ

リドリー・スコットも手すさびで「プロヴァンスの贈り物」なんて作ってるより、こういう本格的サスペンスアクションを撮るほうがやっぱり性に合ってるんではないでしょうか。なかなかの作品なのに、わたしの隣席の中年男性は何度もあっちの世界に行ってしま…

ウエスト・サイド物語

ドキュメンタリー映画「ブロードウェイ・ブロードウェイ」を見て、「コーラスライン」の演出家マイケル・ベネットが「ウェストサイド物語」に出演していたことを知り、俄然見たくなったのでレンタルしてみた。なんと、この名作をわたしは未見だったのでした…

ポーラー・エクスプレス

文句なしに楽しい! 原作に惚れ込んだトム・ハンクスがゼメキス監督に話を持ち込み、原作の挿絵のすべてを活かした作品を、ということで作られた「動く油絵」のアニメーションがこの映画。「パフォーマンス・キャプチャー」という新技術を使ったCGアニメは、…

トゥヤーの結婚

トゥヤーの結婚とはトゥヤーの再婚のことである。二人の子連れで再婚するトゥヤーが華やかな結婚衣装を纏っている巻頭のシーンでは、彼女の息子が「おまえの家には父ちゃんが二人いる」とからかわれ、花嫁というのにトゥヤーは密かに涙を流す。彼女の結婚は…

トゥヤーの結婚

トゥヤーの結婚とはトゥヤーの再婚のことである。二人の子連れで再婚するトゥヤーが華やかな結婚衣装を纏っている巻頭のシーンでは、彼女の息子が「おまえの家には父ちゃんが二人いる」とからかわれ、花嫁というのにトゥヤーは密かに涙を流す。彼女の結婚は…

レイクサイド マーダーケース

テレビの二時間サスペンスみたいな小さな映画なのだが、面白い。原作の力なのか監督の力なのか判然としないが、役者の力は間違いなく作品に大いに寄与している。特に柄本明はぞっとするような怖さ上手さを見せている。相変わらずすごいね、この人は。役所広…

容疑者Xの献身

これまで、アラン・ドロンだ、草刈正雄だ、いや、メルヴィル・プポーだ、チャン・チェンよ、オダギリ・ジョー、金城武、などと言っていたのはすべて忘れよう。福山雅治。これからはこの人に決めました。 友情出演のリリー・フランキー、エンドクレジットを見…

ジェイン・オースティンの読書会

オープニングがいかしてる。なにこれ、「フォーリング・ダウン」かい?ってな感じの、ぶち切れそうな場面ばかりが次々と続く。自動販売機にお札が入らないとか駐車しようとしたら横入りされたとかあれこれあれこれ… こんな、いらいらする毎日。いやなことな…

ハンティング・パーティ

実話を元にしたという物語。巻頭、「この映画のまさかありえないと思える部分が事実である」というテロップが流れる。これでもうすっかり観客はのめりこんでしまうだろう。うまいね、さすがに人の気を引く作りかたが手だれている。ハリウッド映画というのは…

ダージリン急行

兄弟三人が仲直りするために、なんでインド旅行? 父親が死んで、兄弟三人は遺産を巡って争ったり長兄がなんでも仕切りたがってうざかったり、作家の末弟が家族をネタにしているのが気にくわないとか、お互いに反目し合っているのだが、その反目も骨肉の争い…

譜めくりの女

最近、カトリーヌ・フロづいています。「地上5センチの恋心」に続いてこの作品もカトリーヌ・フロ主演。 しかしこの陰湿さはたまりません。何のカタルシスもない復讐譚。とはいえ、この手の陰湿さは実はどこにでもあって、意外と自分のことだと気づかずに映…

地上5センチの恋心

「女はみんな生きている」の胸のすく演技で中年女性を満足させてくれたカトリーヌ・フロの最新作なので、とっても気になっていた。今度は、流行作家の追っかけをするベルギーの働く主婦役。 カトリーヌ・フロ演じる中年女性オデットは、10年前に夫を亡くして…

マルタのやさしい刺繍

本作上映前の予告編がまたよかったね、「ヤング@ハート」。「カレンダー・ガールズ」といい、老人が頑張るという映画には手放しで賞賛を与えたくなる今日この頃、いよいよわたしも老人になりつつあると実感する。 夫を亡くしたマルタという80歳の女性が、若…

パラノイドパーク

ガス・ヴァン・サント監督には「エレファント」のような衝撃的な作品があるだけに期待値が高い。その分、本作の淡泊さは期待はずれ。相変わらず宙づりのまま終わるラストシーンのあまりの突き放し方にはちょっと唖然。 ふとしたはずみで人を殺してしまった少…

この自由な世界で

弱者がさらに弱者を搾取することによってしか「この自由な世界」では生き延びることはできないのか? 這い上がることはできないのか? 「この自由な世界」はわたしたちが生きる、グローバル化した社会。この社会では、搾取する自由も搾取される自由も「なん…

落下の王国

劇中語られる作り話があまりにも荒唐無稽でストーリーとして成り立っていないため、途中でついていけなくなり、寝てしまった。脱物語の物語として見れば面白いのかもしれないが、やはり思想や哲学をついつい求めてしまうわたしの性癖からすると、この「オリ…

レッド・クリフ part1

うちの息子達は小学生のときに既に『三国志演義』、吉川英治『三国志』を読了し、コミック『三国志』(横山光輝著)全30巻もすべて読破済み。その上、テレビゲーム「三国志」もやり尽くしたという強者だけに、とにかくトリビアな知識に長けている。映画を見…

訃報:たけちよさん

今日、ご遺族からの喪中葉書が届いて、この9月にたけちよこと朝妻健さんが亡くなっていたことを知りました。急なことに驚き、思わず「うっそー!」と叫んでしまいました。 たけちよさんと知り合ったのは2001年の5月頃でしょうか、当時桃山学院大学(現在は龍…

イーグル・アイ

Googl Earthが登場したときには、どこから誰に見られているかもわからないという事態にぎょっとしたが、これではうかうか外もぼーっと歩けないではないか。これからは家から一歩出たら、いやいや、家にいても、常に誰かに監視されていると覚悟するしかないの…

ブロードウェイ♪ブロードウェイ/コーラスラインにかける夢

ミュージカル「コーラスライン」(1975年初演)そのものがミュージカルのオーディションを舞台にしたものであるのだが、その「コーラスライン」再演のためのオーディション風景をドキュメント映画に撮ってしまおうというアイデアが秀逸。ドキュメントミュー…

わが教え子、ヒトラー

全編緊張感に満ちたコメディ映画。この笑いはとても不思議な笑いだ。ダニー・レヴィ監督の笑いはさすが、ユダヤの知性というべきか。実は、わたしは全く笑うことができなかったのだが。 ヒトラーに演説の指南をした教師というのは実在したらしい。ただし、こ…

エル・ライブラリー、開館しました

昨日10月21日、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)が無事オープンいたしました。わたしは館長(兼レファレンス係兼貸出係兼目録係兼渉外係兼HP管理人兼掃除係その他雑用係)に就任しました。 大阪府から委託を受けて運営していた大阪府労働情報総合プ…

僕らのミライへ逆回転

後ろの席の複数の男性が随所で大声出して笑っていたのがうるさかった。映画館で声を上げて笑うことなどほとんどないわたしにとってはそんなに思い切り笑えることが羨ましい。声を出して笑えない自分が損しているような気分。しかし、たとえ声を上げて笑うこ…

長い長い殺人

ストーリーがしっかりしているのと、「財布」がナレーションを担当しているという斬新さに惹かれて、最後まで面白く見ることができた。原作未読なので、財布がしゃべるという発想が映画独自のものなのかどうかわからないけれど、これはなかなか面白かった。…

長い長い殺人

ストーリーがしっかりしているのと、「財布」がナレーションを担当しているという斬新さに惹かれて、最後まで面白く見ることができた。原作未読なので、財布がしゃべるという発想が映画独自のものなのかどうかわからないけれど、これはなかなか面白かった。…