吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

懐かしの庭

映画評に続けて原作の紹介を。 上巻ではカルメでの二人の隠遁生活や、ヒロイン・ユンヒの父のこと、主人公ヒョヌの刑務所での生活などが細かく綴られる。映画よりも遙かに詳しく細かな描写には胸に迫るものがある。 刑務所の中では鳩や猫との「交流」が囚人…

なつかしの庭

2009年マイベスト10の10位。 「光州5.18」に比べると遙かに心にしみる名作。「あのとき」何が起こったのか、ということよりも、「その後」どう生きたのか、ということのほうにわたしの関心があるからだろうが、黄晰暎(ファン・ソギョン)の原作も素晴らしい…

死刑執行人もまた死す

いかにもブレヒトらしい左翼演劇の場面は少々笑ってしまったが、全体にたいへんスリリングでストーリー運びが巧み。最後はあまりにもスルスルとうまくいくのであっけにとられるが、そこがまた有無を言わせない力を持つ作品だ。 1943年にアメリカで作られた、…

カティンの森

アンジェイ・ワイダは「カティン(カチンの森)事件」の遺児なのだという。本作は亡き両親に捧げられている。 「芸術性」という点から見れば、ワイダ監督の昔の作品のほうが優れている。検閲下に作った作品のほうが隠喩に富んで文学的だ。「カティン」は検閲…

グラン・トリノ

2009年公開映画の中ではマイ・ベスト1の作品。全国の映画館スタッフの投票によりスクリーンで観てほしい映画のベストテンを決める「映画館大賞2010」のベスト1でもある。キネマ旬報でもベスト1。 「チェンジリング」に比べると緩いとか編集がまずいという…

4ヶ月、3週と2日

それでは、ブログ再開第1弾のレビューは、2009年マイ・ベスト1のこの作品から。 2007年カンヌ映画祭パルムドール受賞も納得の傑作。 1987年、社会主義政権崩壊直前のルーマニアで、非合法の中絶出術を受ける女子大生とその友人の一日を追った緊迫の物語。固…

ブログ再開、2009年のベスト10

1年以上、ブログの更新を中断していましたが、このたび再開することにしました。中断の理由はあまりにも忙しくて精神的ゆとりがなかったためです。大阪府知事「橋下改革」による公的資金全廃によって、全収入の7割を失ったわたしの勤務先の財団法人は、民間…