吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧

天地明察

マスコミ試写にて7月に鑑賞。 滝田監督は「おくりびと」のときとは違ってスピーディでユーモアに溢れた演出を見せる。その分、期待した落ち着きがない。「おくりびと」に感動した人にとっては期待外れではなかろうか。江戸時代の所作にしては不自然さが目立…

プロメテウス

この映画はビジュアル世界が素晴らしい。それだけでも満悦できる。人類の起源の謎に迫る、という触れ込みの予告を何度も見せられたが、要するに「エイリアン」の前日譚。よって、「エイリアン」を見ていないとまったく話にならない。世界観も登場人物の造形…

白いリボン

不思議に引き込まれていく、独特の暗さをもった作品。第一次世界大戦勃発直前のドイツの片田舎に起きる暴力の連鎖。モノクロの画面が陰鬱に展開する。 うちのY太郎(21歳)が「ハネケの作品では一番いい」と評価していたように、実際、これまでのハネケの作…

苦役列車

主人公のダメダメ人間ぶりは原作よりは少しマシかもしれないが、いずれにしてもおよそ側にいてほしくない類のそれである。 原作は主人公の性格の悪さに辟易しつつもその明治文学みたいな文体に惹かれて読み進められるが、映画ではそのままなら露悪的なだけで…