吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

1950 水門橋決戦

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 ほぼ全編眠っていた「1950 鋼の第7中隊」の続編。なぜかこちらの作品はまったく眠ることなくちゃんと見通した。で、やっぱりわかったことは、「朝鮮戦争」なのに、朝鮮人がまったく登場せず、北の軍隊も南の軍隊もどこにいるのか?! 戦争は中国とアメリカで行われていたとしか思えない展開。なるほど、これが中国の受け止め方なのか。朝鮮戦争ではなく「米中戦争」だったのだ。

 中国軍はひどい装備で、戦争するよりもまず凍死するのではと思うほどだ。極寒の朝鮮半島北部でクリスマスを迎える彼らが、米軍が必死で守る水門橋を爆破するために決死の特攻作戦を敢行する。英雄的な決死の行動、友情、兄弟愛、自己犠牲。とにかく美しい中国人民の闘いがこれでもかとばかりに展開する。

 よくこれで戦争できたと驚くしかない。まあ、何十万人死んでも平気だったのだろう、毛沢東は。これが「人民の海」ということか。人命の無駄遣い。なぜか中国軍の兵士たちは中年ばかり。主人公だけが若くて男前なのだ。これはどういう演出なのだろう。

 こんな戦争に勝者はいない。前後編を通して描かれたのは朝鮮戦争が始まって半年ほどの間のこと。この後は1953年まで一進一退の硬直状態の戦いが続く。(レンタルDVD)

長津湖之水門橋
THE BATTLE AT LAKE CHANGJIN II
中国  149分
監督:ツイ・ハーク
脚本:ラン・シャオロン、ホアン・チェンシン
出演:ウー・ジン、イー・ヤンチェンシー、チュウ・ヤーウェン、リー・チェン、チャン・ハンユー、エルヴィス・ハン