吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

オーシャンズ13

もともとこのシリーズへのわたしの評価はそれほど高くない。にもかかわらず見てしまうのは、やはりオールスターキャスト映画のオーラに惹かれてしまうのだろうなぁ。 相変らずソダーバーグはカメラ・テクニックを見せてくれる。かといってこれまでのいろんな…

「二十四時間の情事」をカルースはいかに分析したか

『トラウマ・歴史・物語』の第2章「文学と記憶の上演」はディラスの脚本によるアラン・レネ監督の映画「ヒロシマ私の恋人」(「二十四時間の情事」)についての分析だ。 ここからいくつか引用を。主演の岡田英次はフランス語をまったく理解しないという。彼…

二十四時間の情事(ヒロシマ・モナムール)

再チャレンジでやっとこさ全部見た。これ、要するに記憶について語っているのね。被害の記憶、過去の傷についての記憶。しかし、映画として成功しているとは思えないのだけれど…。 モノクロの画面が過去と現在とを往還し、現在の場面ではアップを多用して登…

夜よ、こんにちは

見終わった瞬間、「いったい何がいいたい映画なのか?」と切ない余韻のなかで思った。わたしの頭を混乱させるほど、この映画はモロ元首相暗殺事件を幻想的にそして徹底的にテーマをそぎ落として描いた。赤い旅団の歴史と思想のすべてを描こうなどとはベロッ…

紙屋悦子の青春

病院の屋上のベンチに老夫婦役の原田知世と長瀬正敏が暗い表情で座っている。二人はどうでもいいような会話を薩摩弁で延々と繰り返す。映るのは屋上と雲だけ。メイキャップで老けさせているけれど、この二人はどうみても老人に見えない。しかも延々と退屈な…

存在の耐えられない軽さ

公開当時に見たときにはこの作品にあまり良い感じを持たなかった。トマシュが単なる女たらしにしか見えなかったからだろう。最近になって原作を読み、随分違う印象を受けた。トマシュとテレーザだけの物語ではなく、サビーナとその愛人フランツの物語も大き…

300 <スリーハンドレッド>

この映画を見たくてたまらなかったうちのS次郎は、R-15なのでやむなく劇場鑑賞を断念。しかしこれ、リアリティなどまるでない劇画調なので、首が飛ぼうが腕がちぎれようが、ちっとも残虐感がない。「パンズ・ラビリンス」のほうがよっぽど痛さが身に染みる映…