吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2030年ごろかも。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2006-01-01から1年間の記事一覧

今年のマイベスト10:映画篇

今年見た映画の本数は167本。そのうち映画館での鑑賞本数は62本。今年はここ数年の中ではもっとも映画鑑賞本数が少ない。自宅で見るDVDの数が減っているからだ。テレビ1台に人間は4人。どうしてもモニタの取り合いになるから、わたしは負けてなかなか家で映…

2006年のマイベスト10:映画篇

今年見た映画の本数は167本。そのうち映画館での鑑賞本数は62本。今年はここ数年の中ではもっとも映画鑑賞本数が少ない。自宅で見るDVDの数が減っているからだ。テレビ1台に人間は4人。どうしてもモニタの取り合いになるから、わたしは負けてなかなか家で映…

フラガール

1960年、合理化が進む常磐炭鉱で、起死回生をかけて建設された「ハワイアンセンター」。北国を常夏の楽園にとの触れ込みでオープンしたこの娯楽施設でフラダンサーのチームが結成された。炭鉱労働者の娘たちの汗と涙の奮闘を描く、実話をもとにした物語。 炭…

カポーティ

実はこの映画の後につづけてソクーロフ監督の「太陽」を見てしまったばっかりに、本作の印象が薄くなってしまった。それほど「太陽」が強烈だったのだが、この「カポーティ」も悪くはない。できるだけ頭のなかで「太陽」と比較しないように心がけるつもりだ…

バタイユ論『歴史と瞬間』(2)

わたしがバタイユ論をさぼっているうちに、ソネアキラさんが湯浅博雄『バタイユ』についてアップされた。うっ、これは無言の催促かはたまたエールか、プレッシャーか(笑)。 ま、おかげで湯浅さんのバタイユ論について書く手間が省けたというもので、曽根さ…

ユダヤの知性

内田樹さんの『私家版・ユダヤ文化論』を読んでいちばん疑問に思ったことは、ユダヤ民族がそこまで高度で世にも珍しい知性の発展のさせかたを民族的伝統として培ってきたというのなら、なぜイスラエルは殺戮をやめないのか、ということだ。 《 だから、「神…

予告編まで出しながら脳みそが溶けたので最近読んだ本のコメントで誤魔化す

また来週、なんていう予告をしておきながら先週の土・日はあまりの暑さに呆然としているうちに終わってしまいました。知的活動はいっさいできず。とほほ。 今週は忙しくてまとまった時間が取れそうにないので、こういう難しい本(『歴史と瞬間』)の感想文を…

『歴史と瞬間 ジョルジュ・バタイユにおける時間思想の研究 』予告編

昨年の春より予告していた「バタイユ月間」、ようやく終わりました。月間といいながらここまで延び延びになってしまったのはひとえにわたしの怠慢によります。 この間、さまざまな励ましやご協力をいただいた皆様には伏してお詫び申し上げ、また暑く、いや、…

かもめ食堂

アキ・カウリスマキ監督の「過去のない男」に主演していたマルック・ペルトラが登場した瞬間に、「あ、どこかで見たことあるなぁ、あ、あの男やんか!」と懐かしく思ったが、その男の名前がなんだったのか思い出せない。当然だ、「過去のない男」には主人公…

人文系ヘタレ中流インテリのための

『マルクスの使いみち』 稲葉 振一郎、松尾 匡、吉原 直毅著: 太田出版: 2006 これはまた読みにくい本だ。3人の鼎談だけれど、最初のほうはいったい何がなにやらさっぱり。経済学説史の解説が延々と続くけど、初心者向けじゃないよ、これ。 やっと3章にな…

ウォーク・ザ・ライン 君につづく道

最近、歌手の伝記映画が続いている。「Ray」と「ビヨンド the シー」はいずれもよい出来だった。今度はカントリー歌手ジョニー・キャッシュと二番目の妻ジューン・カーターの物語。 わたしはジョニー・キャッシュにはほとんど馴染みがなく、それよりも画面…

戦場のアリア

1914年、第一次世界大戦が始まって4ヶ月を過ぎたフランス北部の前線で、仏・独・スコットランド軍が塹壕戦を繰り広げていた。苛烈な戦いの日々に倦んだ兵士たちにクリスマスがやってきた。これは、期せずして実現したクリスマス休戦の実話に基づいた美しい物…

時間論二冊

まだまだ続くバタイユ月間。とか言いながら、実は今、カポーティの『冷血』を読んでいたりする(笑)。で、読み終わったら『ダヴィンチ・コード』を読むつもりで文庫本を積んであるのだ。 さて、新しいバタイユ論である『歴史と瞬間』(和田康著)を読もうと…

『若者が働くとき』bk1投稿書評

近年、若年労働者問題について書かれた本が目白押しだが、どうやったら若者を定職に就かせることができるのかという視点でしか語られてこなかった。これに対して熊沢氏は、以下のように異議を申し立てる。 《就職後の就労継続をむつかしくしている職場の状況…

さよなら、さよならハリウッド

ウッディ・アレンもすっかりお爺さんであります。そんな爺さんと美女のティア・レオーニじゃ似合わんやろう~と不審の目を向けつつ、相変らずしゃべくりまくるアレンにくすくすと笑いながら、最後まで結局退屈せずに楽しんでしまったのであります。 さて物語…

メモ :『若者が働くとき』

以下は、本書を批判的に読むための参考図書から引用(ただし、稲葉氏の意見に賛同しがたいとわたしは思っている) 稲葉振一郎『経済学という教養』(2004年) 《労働組合は確かに、マクロ的な景気政策としてのケインズ政策の支持者である。しかしなぜケイン…

クラッシュ

クラッシュ CRASH、衝突。それは自動車の衝突であり、人と人の衝突であり、異なるエスニシティ同士の衝突である。衝突を避けたいなら、触れ合わないことだ。だが、それではあまりにも寂しいというもの。そして結局のところ、衝突は避けられない。 さすがは「…

アメリカ、家族のいる風景

ラストシーン間近になって思い出したのは今から10年ほど前、まだうちの息子たちが保育所に通っていたときのことだ。運動会かなにかの行事のとき、ランニングパンツ姿で筋肉隆々の足をむき出して園庭に立っていた夫のそばに男の子が近づいて、夫の足をなでな…

中村屋のインドカリーを産み出した革命家『中村屋のボース』

これは評判通り面白い本だった。新宿の中村屋にカレーを教えたのが亡命インド人だったというのはどこかで読んだ覚えがあったが、その亡命革命家「ボース」が日本のナショナリストたちと太い人脈を培っていたことなど、まったく知らないことだらけで、興味深…

『M 世界の、憂鬱な先端』(2)、及び 『限界の思考』

1月23日に『M 世界の、憂鬱な先端』について短い紹介を書き、続きは今週中にと予告して既に一ヶ月以上経ってしまった(汗)。本書の後半部分について抜粋紹介します。 『M 世界の、憂鬱な先端』のMはもちろん宮崎勤を指すが、本書は宮崎事件だけではなく、神…

『図書館に訊け!』

本書では、図書館とはどういうところか、本屋とどう違うのか、なぜ図書館は必要なのか、といったことから始まって、資料の多様性の解説・評価、目録の見方、文献検索の方法等々、およそ図書館を使いこなすHow toはすべて指南されている。 インターネット時代…

バタイユ月間始まる

去年の夏にはバタイユ月間が既に終わっていないといけないはずだったのに、とうとう冬までずれこみ、下手をするともう春が来るのである。月日の経つのは早い、あせる。 曽根朗さんにエールを頂戴してわざわざ卒論のバタイユ論のアップまでしていただいたのに…

ミュンヘン

1972年9月、ミュンヘンオリンピックの選手村で起こった惨劇のことはよく覚えている。新聞の1面に黒抜きでデカデカと見出しが載り、テレビは大きく事件を報道していた。当時中学2年生のわたしにはパレスチナでの争いがどういうものなのかよくわからなかったが…

やさしくキスをして

イスラム教徒とカトリック教徒の恋は成就するのか? 教会や職場や家族の圧力に愛は勝てるのか? 社会派の名匠ケン・ローチ監督が作るラブストーリーは生半可じゃない。「やさしくキスをして」という甘いタイトルに背く重い恋愛映画だった 舞台はスコットラン…

ある子供

18歳と20歳の若いカップルの生きる困難を淡々と綴ったドキュメンタリータッチの作品。子供をいとも簡単に売り飛ばす若い父親に未来はあるのだろうか……? ダルデンヌ兄弟の作品を見るのはこれが2本目。「息子のまなざし」(2002年)は力作には違いないのだが…

連続幼女殺人事件のM被告に死刑判決

去年のベスト10に入れた本が『M/世界の、憂鬱な先端』(文庫版)だ。既に単行本の刊行から5年経っているし、文庫になってからも2年が過ぎているが、この本は今読んでこそ時宜に適っているような気がする。 17日、最高裁はM被告に死刑判決を下した。今頃こん…

日米関係について考える

年末年始にかけて、日米関係について言及した本を二冊読んだ。まずは「帝国アメリカと日本 武力依存の構造」。筆者はアメリカの政治学者で、本書は戦後の日米関係について述べたものだ。日米安全保障条約のもとにアメリカがいかに日本を軍事的に食い物にして…

2005年ベスト本

去年読んだ本の冊数はついに100冊を切ってしまった。もう、何冊読んだと数えて一喜一憂するのはやめようと開き直ることにした。何冊でもいいんだ、競争じゃなし。わたしはゆっくりと読みたい本だけを読むことにしよう。でもそれがたくさんあって、積ん読本だ…