吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ラバーズ・アゲイン

登場人物の心理はまったく理解できなかったが、大変面白く最後まで見ることができた。劇場未公開なのが残念だが、華となるような役者が出てこないのだからしょうがないか。いや、63歳のデブラ・ウィンガーの美貌がまだまだある程度は保たれているところを見…

主人公は、ほとんど視力を失ったカメラマンと、映画の音声ガイドを吹き込む若い女性。彼らは映画に音声ガイドをつける作業を通して知り合う。かつては天才カメラマンとして名前を知られた中森雅哉は、徐々に視力を失いつつあり、弱視となった今もカメラを離…

クワイエット・プレイス

声を出してはいけないという映画内のお約束のために、ずいぶん静かな映画なのだが、どっこい劇伴の音楽がものすごく怖くて、全然クワイエットじゃない! しかしまあ、あまりの緊張に見ているほうも息を詰めてしまうような映画だった。この映画が90分以内に収…

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス

あまりにも素朴なその絵は幼稚園児が描くような花や人物だ。しかしその温かい色使いは人々の心を癒し、優しい気持ちにさせるものがある。それだけではなく、ハッとするような斬新な色遣いとユーモアにあふれた描写に、思わず「この絵がほしい」と思わせる力…

イコライザー2

前作はものすごく面白かったというのに、内容はきれいさっぱり忘れている。覚えていることは、デンゼルが強烈にかっこよい必殺仕事人で、クロエ・グレース・モリッツがまだ十代なのに既に中年体形になって貫禄ある二の腕を見せていたことぐらい。なので、前…

カメラを止めるな!

一つ空けて隣の席の若いおにいさんは巻頭のゾンビ映画の最中からずっと笑っていた。なんで笑うのかちょっとわからなかったわたし(マジこのゾンビ映画を怖いと思っていた)だが、後半第2部でわたしも思わず声を出して笑ってしまったので、きっとこのおにいさ…

ボディガード

午前十時の映画祭にて8月に鑑賞。 この映画を観るのは10回目ぐらいかもしれない。ビデオも買ったしサントラも持っている。ビデオ発売された時のCMの惹句は「これでケビンはわたしのもの…」と色っぽい声で女性がささやいていた。全日本のおばちゃんを狂喜さ…

ビューティフル・デイ

「レオン」のサイコファンタジー版とも呼ぶべき不思議な映画。もう四か月以上も前に見たからすっかり詳細は忘れたけれど、雰囲気だけは強烈に印象に残っている。 主人公ジョーは元軍人で、彼は戦場のトラウマと少年のころの家庭内暴力の記憶にさいなまれる日…

チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛

時は17世紀、オランダはチューリップ・バブルに沸いていた。世界初のバブル景気として有名なチューリップの先物買いの高騰ぶりは過熱の上にも過熱し、球根1個が邸宅2軒分の値段で取引されたという。その時代はまた絵画もバブル状態で、裕福な多くのオランダ…

薄氷の殺人

ファム・ファタールもの。「薄氷の殺人」とはうまく題名をつけたもので、舞台は雪が積もる中国の地方都市、季節は冬。主人公たちは野外スケート場でたどたどしい足取りで滑走している。殺人はそのスケート靴にからんで起きる。 巻頭、ほとんどセリフがなくし…

デトロイト

1967年、全米最大の黒人暴動が起きた都市デトロイトを舞台にした、悪夢の一晩を描いた実録もの。主役はジョン・ボイエガが演じる警備員のはずだが、全然活躍の場がない。最後まで異彩を放っていたのは若き悪徳警官の人種差別者を演じたウィル・ポールターで…

ミッションインポッシブル フォールアウト

全編山場! 山場しかない。次から次へと山場! 観客が疲れ果ててごめんなさいもう許してというまで山場が襲ってくるという恐るべき映画。しかもほとんどのアクションスタントをトム・クルーズ自身が演じているというプロ根性にも脱帽。なんでそんなべらぼう…

マンマ・ミーア! ヒア・ウィ・ゴー

エンドクレジットの後に爆笑の1カットがあるのでお見逃しなく。 かつて世界中を熱狂させたアバ(ABBA)の楽曲だけを使ってミュージカルを作り上げるという神業の物語を八年前に見たときには、心底驚いたと同時に中高年の生き直し賛歌を楽しんだものだったが…

ラブストーリーズ コナーの涙 / エリーの愛情

幼児を亡くしたことによって関係が崩壊し別れていく一組の夫婦の悲しい物語。愛し合いながらも心が離れていくのを止めようがない。そんな二人をそれぞれの立場から描いた別々の作品として完成させている。 2作を1セットとして描くという試みはなかなか斬新だ…

春との旅

足を傷めて仕事ができなくなった老漁師が孫娘と一緒に旅に出る、というロードムービー。この老人がわがままで無教養でどうしようもない男だ。妻には先立たれ、娘にも死なれて孫の春と二人で北海道の寒村で生活していたが、その孫の勤務先である小学校が廃校…

さよなら、人類

「散歩する惑星」「愛おしき隣人」に続く三部作の最終作。さすがに同じような話も三回目になると飽きる。ただし、相変わらずの画面作りへのこだわりには感動した。窓に執着する監督は、ほぼ全画面で窓を構図の中心に配置してその窓を通して不思議な人間模様…

運命は踊る

イスラエルに住む裕福な家庭のもとにある日突然軍の関係者がやってきて、「息子さんのヨナタンが昨夜亡くなりました」と告げる。その言葉を聞いた若く美しい母親は卒倒し、父親は冷静を装いながらも感情のやり場に困惑し、絶望に震える。だがそれは誤報であ…

愛と法

大阪で開業する弁護士夫夫(ふうふ)の日常を追ったドキュメンタリー。二人の名前はカズとフミ。二人で「なんもり法律事務所」を開業したのは2013年のこと。映画は2014年、性の多様性を祝福する「レインボーフェスタ」会場で派手なTシャツ姿の二人が壇上に上…

幸せなひとりぼっち

お気に入りの一作になった。 オーヴォは59歳、無職になったところ。妻に先立たれて半年。しかしわたしにはオーヴォは59歳に見えなかった、70歳ぐらいかと思ってしまったわ。今年フランスにいってわかったんだけれど、ヨーロッパの水で顔を洗うと肌が荒れる。…