吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2030年ごろかも。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『ホモ・サケル』メモ(2):第2部

ローマの古法に、「ホモ・サケル」(聖なる人間)についての定義がある。 ホモ・サケルとは、邪(よこしま)であると人民が判定した者のことである。そのものを生け贄にすることは合法ではない(neque fas eum immolari)。だが、このものを殺害するものが殺人…

『河岸忘日抄 』

河岸忘日抄 堀江 敏幸著 ------------------------------------ 「いつまでもこの本と向き合っていたい」と思わせる馥郁たる香りの漂う小説だ。それは、贅を尽くした重厚で落ち着いた調度が安らぎを与えてくれるホテルのラウンジで、軽い酔いにうっとりしな…

積読本の中に埋もれていた『反=理論のアクチュアリティ』

積読本を入れた引き出しをあけて「そろそろちょっと整理しようかな」と何気なく何冊か手に取ってパラパラと読んでみた。読み始めるとつい引き込まれるのだが、なにせ時間がないし、今同時に3冊の本を並行して読んでいるからこれ以上読書はできないのだ。 そ…

ロング・エンゲージメント

本作は、大ヒット作「アメリ」の監督と主演女優が再びタッグを組んだ作品だ。世評は高いが、わたしは「アメリ」はさほどよいと思わなかった。この映画も「アメリ」のような演出が施されていて、スピーディでコミカルな映像タッチで物語がぐいぐい進む。第一…

『ホモ・サケル』とは聖なる人間 : 読書メモ(1)序章と第1部

ギリシャ人の2つの「生」 ひとつは「ゾーエー」zoe ……人にも動物にも共通の「単に生きている」という事実を指す。 ひとつは「ヴィオス」vios ……個体や集団に特有の生きる形式、生き方を指す。 「人は善く生きるために存在する」(アリストテレス) アリスト…

山田詠美にはまる

ああぁ~、またまたとみきちさんにそそのかされてしまった! この人のお奨め上手にはいつも完敗でございまする。もうあなたのいいなりよっ、てな感じ。 ぼくは勉強ができない。と宣言して周りの好意的笑いを受けてしまう、とってもナイスな高校生が主人公。…

『奇跡を起こした村のはなし 』

奇跡を起こした村のはなし ちくまプリマー新書 吉岡 忍著 : 筑摩書房 -------------------------- 過疎に悩むどこの村落にとっても夢のような奇跡を起こし、村づくりに成功した新潟県黒川村の半世紀の歴史。 2度の大水害、毎年の雪害に苦しめられた寒村がど…

書評について

葉っぱ64さんのブログ「千人印の歩行器」を起点として「双風亭日乗」(双風舎の社長兼編集長のブログ)で「書評」をめぐって熱い書き込みが続いた。双風亭さんの真摯なご意見はまことに傾聴に値するものであり、そこにはわたしも書き込みをしたので、ここで…

80年代論、90年代論(2)

本書はエロ漫画編集者であった大塚英志の徹底的に個人的な回想録なのだが、自分のことだけを語りながら80年代という時代を浮かび上がらせていく手腕は見事だ。 内容詳細はbk1の書評に詳しい紹介があるのでそちらに譲るとして、感想を手短かに。 漫画家や…