吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ショコラ ~君がいて、僕がいる~

オマール・シーは際物、もしくは異色俳優として色物扱いされる恐れがあり、実際その瀬戸際の気がするが、本作でもそういう役をもらっている。 今回オマール・シーが演じるのはフランス初の黒人コメディアン、ショコラの役。舞台は20世紀初めのサーカスのテン…

カエル少年失踪殺人事件

カエルを取りに行くと言って山に入ったまま行方不明になった5人の小学生たちの行方を捜すミステリー。1991年に起きた実際の事件を元に作られている。事件そのものは迷宮入りしたが、映画では犯人に迫るのはMBS放送の演出家だ。 どこまでが事実でどこからが想…

ダンシング・ベートーヴェン

漫然と聴いていると気が付かないが、楽譜を見ながらベートーヴェンの第九交響曲第四楽章を歌ってみると、この曲がいかに緻密に練り上げられているか、その事実を実感して圧倒される。大オーケストラに四部合唱、さらに四声独唱を加えた、完璧な交響曲。これ…

トランボ  ハリウッドに最も嫌われた男

これは出色の出来。よくできたドキュメンタリーとも言える、面白く可笑しく実話を描いたドラマだ。 本作はダルトン・トランボという一人の天才脚本家の半生記である。その破天荒ぶりが半端ないので、見ていて痛快愉快この上ない。天才とはこういう人物のこと…

草原の実験

これは劇場の大スクリーンで見るべき映画であって、自宅のテレビモニターで見るなんて許されない。ましてや、わたしみたいにiPadで見たなんていうのはもうとんでもない話! いやー、これは本当に大きなスクリーンでみたかったわ。 そもそも、この映画はセリ…

はじまりの街

DV夫から逃れて新生活を始めた中年女性とその13歳の息子が、周囲の人々に支えられて確かな一歩を踏み出すまでの物語。 ローマから北イタリアのトリノへと、学生時代からの友人をたよってやってきたのはアンナとその一人息子のヴァレリオ。独身で気ままに暮…

ソウルステーション/パンデミック

韓国のアニメは初めて見た。そして、これは怖い。特にラストのどんでん返しが怖い。 ヒットしていた実写「新感染」はとうとう見逃してしまったが、このアニメがその前日譚というので興味をそそられた。舞台は深夜のソウル駅。一人のホームレス老人から感染が…

ナチスの犬

劇場未公開作。 これはおそらく実話を基にしているのだと思う、ナチスと対峙した市井の人の物語。ナチス占領下のオランダで、ドイツ系ユダヤ人の劇場支配人ズスキントは占領軍の将校に取り入ってご機嫌を取り結び、特別視してもらっていた。その見返りに彼は…

三度目の殺人

見終わったあとすっきり爽やか、といかないところが本作の魅力なのか欠点なのか。もやもやしたまま終わってしまった謎の作品。是枝監督自身が「神の目線を持たない法廷劇」と言っているように、殺人事件の真相は観客に委ねられる。 三度目の殺人とは、三隅(…

映画深夜食堂

この人情物語よいねー。テレビドラマで好評だったので劇場版ができたということだが、テレビの作品ではなく劇場オリジナルのオムニバス映画である。登場人物のことは観客がある程度知っているという前提でお話が進むが、テレビ版を見ていなくてもだいたいは…

ワルキューレ

最後のヒトラー暗殺計画。もちろん失敗したことは歴史の事実だから誰もが結末を知っているのに、緊迫感が漂うよい演出だ。ただし、なぜか俳優がイギリス人だらけで、アメリカ人トム・クルーズがドイツの貴族将校というのは解せない。写真を見たところ、確か…