吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

極限境界線 救出までの18日間

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 なにかお気楽に観られるようなアクション映画でも。と思って見始めたのだが、お気楽な映画ではなかった。これは2007年に実際に起きた、タリバンによる韓国人23人拉致事件を元にした作品で、確かにカーチェイスの場面などは映画的な見せ場を作るためのフィクションであろうが、実際に人質に犠牲者が出たりなかなか厳しい状況が描かれている。

 わたしはこんな事件があったことをすっかり忘れていたので、あとでWikipediaで調べてみた。あの頃は日本人もアフガニスタンで射殺されたり(2008年)、いろいろと物騒なことが続いていたことを思い出す。しかし今の世の中もずっと変わらず、いやそれ以上に戦争が続いて憂鬱だ。

 とにかくヒョンビンがかっこいい。ヒョンビンは無精ひげを生やして登場するが、無精ひげだろうがなんだろうがとにかくかっこいい。そして共演のファン・ジョンミンが今回は悪役ではなく、正義感あふれる外交官としてタリバンとの交渉にあたる。果たしてどこまで実話なのかよくわからないが、当初対立していた二人がやがて協力し合うようになり、という展開は予想どおり。実話を曲げるわけにもいかないから結論もわかっているわけだが、韓国側とタリバンとの交渉がまったく進まないのに、なぜ最後になって妥協点が見つかったのか、いまいち納得できなかった。

 日本政府や日本の「世論」が自己責任論一色になったことを思い出してうんざりした。韓国では政府がこのように動いたことが批判も受けたが、人質を救うことができたではないか。彼我の違いを考えさせられる。(レンタルDVD)

2023
THE POINT MEN
韓国  Color  109分
監督:イム・スルレ
脚本:アン・ヨンス
出演:ファン・ジョンミン、ヒョンビン、カン・ギヨン、パク・ヒョンス