2月に見たアニメ、今頃だけれど感想を。
わたしは既に配信でテレビ版の全話を見ていたので、とても楽しみにしていた。この映画はテレビ版を見ていない観客にも理解できるように、基本の設定をナレーションでちゃんと説明してくれる。
時代はおそらく1960年ごろで、地域はヨーロッパの架空の国である。ここは国が東西に分かれて対立しており、西がウェスタリスで東がオスタニア。主人公はウェスタリスの諜報機関ワイズから東に潜入してきた凄腕スパイの「黄昏」ことロイド・フォージャー。先の大戦が終わってからまだ15年ぐらいの感じだろうか、やっと復興したという設定になっている。
ロイドのミッションは、偽装家族を成してオスタニアの名門イーデン校に「娘」アーニャを入学させ、同じく息子を通わせている、国家統一党総裁デズモンドに近づくこと。そのためにデズモンドの息子と仲良くなって家に招いてもらうとか、成績優秀者になって「ステラ」という勲章を獲得し、ステラ保持者だけが参加できる懇親会に親子どもども招待されることを狙っていた。
目的は世界平和の維持であり、そのためにデズモンドに接近して情報を得る、そのために娘をデズモンドの息子と同じ学校に入れる、そのために孤児院で娘役となる子どもを探す、ついでに妻役も町でスカウトする、というものすごくややこしい任務なのだ。この設定でまずは笑える。しかもスカウトしてきた孤児が実は超能力者で人の心を読むことができる。ただしこの事実は誰にも知られてはならない秘密なので、ロイドも知らない。おまけにロイドがスカウトした「妻」役の公務員ヨルは「いばら姫」と呼ばれる殺し屋だった。
とまあ、設定だけで700字ぐらい書いてしまったよ(笑)。なにしろマンガなのだから、話は荒唐無稽で、コメディだから思い切り大げさなシチュエーションになっている。疑似家族の3人が互いに秘密を抱えて生きているわけで、その秘密がばれないためにあの手この手を使うところも笑いのツボ。アーニャは5歳ぐらいの可愛い少女で、彼女の表情を見ているだけでも笑える。偽家族のはずが、いつの間にか心を通わせるようになっていく……という展開で原作は進む。まだ原作が連載中なのでこの物語はどういう決着を見るのかはわからない。
して、劇場版は原作にないオリジナルな脚本であり、映画版らしくスケールアップしている。かつての東西ドイツを彷彿とさせるような時代設定になってはいるが、文字はどうやら英語っぽい? そして今回は親子で北部地方に旅行するのだが、そこでアーニャが軍部の陰謀に巻き込まれてしまう。悪者にとらわれたアーニャを救出するためにロイドとヨルが捨て身の作戦に出る。そしてダイハードな戦いが飛行艇の中で繰り広げられるのであった……。
というわけで、たいそうなアクション巨編として仕上がっている。おまけにお子ちゃまたちが大好きなウンコが大きなキーワードになる。ウンコの神様が登場するシーンなどは爆笑もの。再び世界が戦火に巻き込まれないために、この仮初の家族が大活躍するわけで、実際に今世界で起きている戦争もこんな風に止めることができればどれほどよいだろう。
時代の設定が古いため、携帯電話もコンピューターも登場しないので、スパイの連絡も街頭の公衆電話を使ったり伝書鳩だったり、なかなか楽しい。映画館の中でもお子たちの可愛い笑い声が聞こえてきて、雰囲気がよかった。たまにはこういう映画を見てストレス発散するのもよかろう。
ところで、劇場版作品では細かな設定が説明されていなかったが、テレビ版では、登場人物たちが戦争の被害者でありその暗い影を引きずって生きていることがわかる場面がいくつもある。おちゃらけなコメディのようであっても、実はその背景には深いものがあるのだ。
