吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

宇宙人のあいつ

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 低予算映画きわまれり。とバカにしてはいけない。まあ、チープなのは否定しがたいが、なかなか楽しくて退屈しなかった。よきかな。アホらしいコメディなんだが、その設定のすべてがあまりにもチープなので笑うしかないところがいい。そして、そのチープさを補ってあまりある役者の魅力や演技力に感動した。

 というわけで、感動したのかあきれたのかよくわからない映画だった。

 テーマは「家族の絆」なのだが、そのためにわざわざ土星人を登場させるあたりがうざったい。でもその土星人が中村倫也っていうのがいいじゃないですか。最近わたしの中では中村倫也の株価が上がっているので、とてもよかった。なんで中村倫也がいいと思ったのかよくわからないのだが、あの独特の脱力したしゃべりかたが気にいったのかな。もしくはあの声かもしれない。

 ほかには、伊藤沙莉がとてもよかった。役柄のキャラクターのおかげかもしれないが、彼女もしっかり自然体で(でも演技に違いない)、土星人の妹の地球人(ややこしい)の素朴で粗野なかつ優しいキャラを好感度高く演じていた。

 というわけで、家族の絆を斜め下から描いたあほくさい映画として、今年の映画の中では異色の作品として記憶に残る。(Amazonプライムビデオ)

 2023
日本  Color  117分
監督:飯塚健
製作:勝股英夫ほか
脚本:飯塚健
撮影:相馬大輔
音楽:海田庄吾
出演:中村倫也伊藤沙莉日村勇紀柄本時生関めぐみ、千野珠琴