吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

非常宣言

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 タイトルの「非常宣言」は航空機が操縦不能などの緊急事態に陥ったときに不時着などを要請することを言うらしい。

 で、問題の航空機はバイオテロの標的となって、機内に致死性ウィルスがばらまかれ、患者が次々死んでいき、どこにも着陸許可が下りないという設定。

 典型的な閉鎖空間でのパニック映画で、それなりに面白く見ることができる。なんといっても役者が豪華で、とりわけ国土交通大臣役のチョン・ドヨンがかっこよすぎる。これほど胸がすく女性政治家は実際にはいないのじゃないか。きれいなおばさんだし。そして、プロ意識を最後まで捨てないチーフパーサーの女性もめちゃかっこいい。この映画は女たちがプロの仕事を遂行するきりりとした姿を描いているところが好ましい。

 途中で飛行機がきりもみ状態になる場面では、ものすごい迫力の画面に息を飲む。これは大変な苦労をして撮影した模様で、CGかと思ったがそうではないというので驚くしかない。

 お話としてはウィルス並みにご都合主義が蔓延しているが、そこそこ手に汗握る展開であるし、最後までしっかり飽きずにみられる。とはいえ、テロ犯の動機がさっぱりわからないとか、なんでそこまでやりますかという込み入った手順とか、現実味がなさすぎる。最後は主要人物が助かるに違いないと思わせて案外そうでもなかったりと、けっこう話を引っ張る。

 細かいことを気にせず手に汗握ってよしとする映画。社会批判の粉もまぶしてあります。(レンタルDVD)

2022
EMERGENCY DECLARATION
韓国  Color  141分
監督:ハン・ジェリム
脚本:ハン・ジェリム
出演:ソン・ガンホイ・ビョンホンチョン・ドヨン、キム・ソジン、パク・ヘジュン