吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~

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 12月30日に映画館で見た3本目。

 あまりにも面白いから疲れも落ちた。とはいえ、途中ちょっとだれた部分もあって。それは甲子園の地下工場(だったかな)の場面。ちょっとしつこかったな、これは。しかしその他はとても気持ちよくて、とりわけ大阪府知事が極悪非道な人間だったところが最高に面白かった。大阪府知事を演じた片岡愛之助がさすがは歌舞伎役者、腹の底から声が出ていて、そのいやらしさを満身から発しているのには感動した。「大阪都構想はあかんかったけど、万博はやらしてやぁ~」とドスの利いた声で見得を切るあたりは天晴なり! いや~、実に気持ちよかったわー、すっとした!

 それにしても前作に続いてこれでもかの悪乗りには爆笑に次ぐ爆笑。わたしの隣席に座っていた中年のおじさんはずぅ~っと笑いっぱなしで、あれだけ笑えたらチケット代も安いもんやで。

 あ、興奮してちゃんと映画のあらすじなどを書くのを忘れていたわ。劇場版パンフレットによれば、前作は「まさかの大ヒットを記録した」だけではなく、「第43回日本アカデミー賞ではなんと、最優秀監督賞・最優秀脚本賞・最優秀編集賞を含む最多12部門で賞を獲得!」したのだそうな。前作も劇場で鑑賞したわたしとしては快哉である。というわけで続編が満を持して作られた模様。しかも今回は舞台が関西で、いじられるのは滋賀県。うーむ、なんで滋賀県? 和歌山とかはあまりにも普通だから?(笑) 映画の公開に先立って主演の二階堂ふみと監督などが滋賀県知事への謝罪会見を行ったと、ネットニュースで読んだ。滋賀県の三日月知事は「なんで滋賀なんだ」と思ったらしいが(本心では奈良とか和歌山だろうと思っていたのでは?)、笑って謝罪を受け入れたとか。

 あ、まだあらすじを書いてなかった。てか、あらすじってあったっけ? 簡単な設定を述べると、和歌山は大阪の植民地で、大阪の残虐な支配にあって人々は苦しんでいた。大阪府知事の妻が神戸市長で、その浮気相手が京都市長。この3人が結託して滋賀、和歌山、奈良が非人道的な扱いを受けていたのだ。で、その和歌山とか滋賀県を解放する闘いが始まったのであった(なんで奈良はスルー?(笑))。ということが、のちの世に歴史として語られる、その物語を運転中の車内でラジオドラマとして聞いている埼玉の家族が感動のあまり涙している。というややこしい話。

 ここで特筆すべきは、極悪大阪府知事の妻の神戸市長が藤原紀香というところ。この映画でついに夫婦共演が実現したという二人が悪役で登場するわけだが、なんで夫婦初共演でこの映画を選ぶかな、出演料に目がくらんだか(笑)。最後の出身地対決では藤原紀香の「産地偽装」問題も暴露されて、爆笑のうえにも爆笑。

 さまざまな地域ディスりがあったなかで、わたしが一番笑ったのは、「古墳以外になんにもない堺」とか「関西最強軍団のいる岸和田(だんじり)」とか、滋賀のオスカルとか、枚挙にいとまがない。このあほらしい映画、次回作があるなら次も絶対に映画館で観たい!!

2023
日本  116分
監督:武内英樹
製作:大多亮ほか
原作:魔夜峰央 『翔んで埼玉』
脚本:徳永友一
撮影:谷川創平
音楽:Face 2 fAKE
主題歌:はなわ 『ニュー咲きほこれ埼玉』
出演:二階堂ふみGACKT、杏、加藤諒益若つばさ、堀田真由、和久井映見天童よしみ山村紅葉ハイヒールモモコ川崎麻世藤原紀香北村一輝片岡愛之助