吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2022-01-01から1年間の記事一覧

エルヴィス

ロックの帝王エルヴィス・プレスリーの伝記映画なのだから、さぞや大ヒットかと思いきや、予想に反して苦戦しているらしい。その理由はなんとなくわかる。「ボヘミアン・ラプソディー」が伝説のコンサート「ライブ・エイド」で盛り上げて終わったのに対して…

ベイビー・ブローカー

原題は「ブローカー」。製作会社のロゴが漢字とハングルの組み合わせで「家」という意味のマークを作字しているのが面白い。 さて巻頭、ポン・ジュノ監督の「パラサイト」へのオマージュかと思わせる、夜の大雨が打ち付ける急坂の階段が映る。「パラサイト」…

オフィシャル・シークレット

長さをまったく感じさせない、緊迫感が最後まで持続する社会派作品。実話というのが驚くべきで、地味な展開にも拘わらず観客をつかんでいくのは演出の的確さの賜物だろう。キーラ・ナイトレイも渾身の演技を見せる。 さて物語は。2001年の911テロの後、ブッ…

教育と愛国

非常に抑制の効いた撮り方に感動する一作だ。 冒頭、”「おはようございます」という挨拶とお辞儀は同時にするのがよいのか” を問う場面が現れる。信じがたいことにこれは道徳の教科書に載っていることなのだ。なんでそんなどうでもいいことが道徳の教科書に…

シン・ウルトラマン

やっぱりテイストは限りなく「シン・ゴジラ」に似ているのだが、ゴジラに比べると新鮮味に欠ける。冒頭いきなりこれまでの経過を超早口字幕で説明する場面が続く。次々と字幕が移り変わっていくので、もちろん読むことは不可能だ。いくらわたしが1~2秒で字…

トップガン マーヴェリック

巻頭のシーンのカメラアングルといい、劇伴音楽といい、すべてが前作を踏襲している。この時点でトム・スコット監督への最大限の敬意が感じられる映画だ。もちろん最後にトム・スコットへの献辞が現れる。 冒頭にトム・クルーズが現れ、彼がマッハ10の壁を超…

日本沈没

人身事故のせいで駅のホームで2時間10分待たされている間とかに見た映画だが、結局最後は見終わらないうちにamazon prime 無料配信期間が過ぎてしまった。残念無念であるが、最後の結末を見ていないのであった。 しかしこの映画にかんしては結末よりもそこま…

私のはなし 部落のはなし

一人の学生が、屠場(とじょう)の人々を撮影した「にくのひと」というドキュメンタリー映画を作った。思いのほか評判を呼んで劇場公開にこぎつけるところまで行ったが、部落解放同盟兵庫県連合会の抗議を受けて、作品はお蔵入りとなった。それから10年、か…

焼け跡クロニクル

「焼け跡」は比喩じゃなくて、本当に火事で焼けたての、まだ消防車や救急車がサイレンを鳴らしている様子から映画が始まる。2018年、この映画の監督一家5人が暮らしていた京都の家が全焼してしまう。大事な撮影素材や機材を持ち出そうと原將人監督は火の中に…

アイリッシュマン

ヤクザ映画は嫌いなのだが、これはネットフリックス製作の配信映画にもかかわらずアカデミー賞に10部門ぐらいノミネートされたので、記憶に残っていた。 で、その結果。前半はかなり爆睡してしまったのだが、その原因は酔っぱらって観ていたからであり、素面…

2021年映画のマイベスト

毎日映画コンクールやキネマ旬報の発表は既に終わり、アカデミー賞の発表もそろそろのようで、ようやくわたしも去年の映画を振り返る余裕ができた。いや実はもう年度末を迎えて切羽詰まっているのである。いま書かないともう今年は書けないので、無理やりに…

すばらしき世界

2021年11月鑑賞。 元ヤクザの心優しき男がなんとか更生しようと懸命に努力しながらもなかなかうまくいかないという、可笑しくも悲しく切ない物語。 殺人犯としての刑期を終えて出所した三上正夫(役所広司)は身元引受人となってくれた弁護士夫婦の元へやっ…

白頭山(ペクトゥサン)大噴火

一回目の鑑賞では途中爆睡。気を取り直して後日2回目の鑑賞では1.3倍~2倍速で見た部分も多いので、話がサクサク進んで楽しかったし、よくわかった。いやあ、最近は映画を一回見ただけでは理解できなくなってきているよ、わたしの脳みそやばい。 そもそも白…

コレクティブ 国家の嘘

2021年10月鑑賞。 この映画はドキュメンタリーであることが信じられないほどにドラマティックに仕上がっているのが驚きの一作である。タイトルの「コレクティブ」は2015年に火災が起きたライブハウスの名称。映画の冒頭で、このライブハウスで行われているラ…

アメリカン・ユートピア

7/15に鑑賞。 面白いという前評判をうろ覚えで見に行ったので、音楽パフォーマンスの記録だとは知らなかった。てっきりブロードウェイのお芝居かなにかを見せてくれるのかと思ったら、 そうではなくて、でも「なんじゃこりゃ?」とつまらなく思った冒頭から…

JUNK HEAD

2021年6月末に見た。 驚異的な映画である。よくこんなものをほとんど一人で作ったな、と驚嘆したものだ。ストップモーションアニメは究極のアナログ作業だ。やはり完成までに7年もかかったという。その緻密な造形には恐れ入るが、なによりも、原作・脚本・監…

DUNE/デューン 砂の惑星

2021年10月に鑑賞。 これはもう美術や演出が素晴らしいの一言である。しかし、三部作の第1作であり、作品全体を評価するのは難しい。物語の構造全体も見えていない。だからなのか、アカデミー賞では作品賞にノミネートはされているが、有力候補という下馬評…

テレビで会えない芸人

鹿児島放送のテレビドキュメンタリーが元になっている作品。なんで鹿児島?と思ったら、松元ヒロの出身地だった。しかしテレビに出ない(出られない)芸人の芸を撮影してもテレビで放送できないやんか!(笑)。というわけで、映画になったのであった。元のテ…

テロ,ライブ

今年の初映画はAmazonプライムビデオで。超絶面白いという話を聞いていたので見た。ほんんまに面白い。よくこんなエンタメ映画を作ったもんだ、金もかけている。すでに日本映画は韓国に発想でも規模でも遥かに負けている。後塵を拝しているのだからもう日本…