やっぱりテイストは限りなく「シン・ゴジラ」に似ているのだが、ゴジラに比べると新鮮味に欠ける。冒頭いきなりこれまでの経過を超早口字幕で説明する場面が続く。次々と字幕が移り変わっていくので、もちろん読むことは不可能だ。いくらわたしが1~2秒で字幕を読めるといっても、この字幕は無理!というぐらいの展開の速さである。
なんといっても不満は、カラータイマーがないことだ。これがピコーンピコーンと鳴らないと、ウルトラマンの危機感が醸成されないではないか。それにしても、なんとユーモアにあふれたウルトラマンだろう。山本耕史の外星人なんて最高だ。四文字熟語を連発する台詞には爆笑。誰が脚本を書いてるんやと笑いながら思ったのだが、やっぱり庵野さん!
細部においてはどうでもいい話が満載だが、長澤まさみの巨大化とか、テレビシリーズへのオマージュも素晴らしく、ガリバー旅行記よろしく彼女が張り付けられるところとか、絵柄的には素晴らしかった。
いやでもこんなどうでもいい映画(失礼)だけれど、ちゃんと伝えたいことはあるのよね。自己犠牲の素晴らしさとか、権力への批判とか。ただし権力批判はやりすぎると本作製作に対する自衛隊の協力を得られなくなるから、そこはそこそこに、という配慮が見て取れる。
われわれ世代への気配りもよろしく、やっぱり庵野さんはわたしと同世代だ、万歳!! と思った一作。これほど監督の影が薄い作品もないよね、監督は庵野さんではありませんから。
え? 次は「シン・仮面ライダー」ですって?!(予告編より)
2022
日本 112分
監督:樋口真嗣
総監修:庵野秀明
製作:塚越隆行、市川南、庵野秀明
原作監修:隠田雅浩
脚本:庵野秀明
撮影:市川修
音楽:宮内國郎、鷺巣詩郎
出演:斎藤工、長澤まさみ、有岡大貴、早見あかり、田中哲司、西島秀俊、山本耕史、嶋田久作、長塚圭史