吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

JUNK HEAD

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2021年6月末に見た。

 驚異的な映画である。よくこんなものをほとんど一人で作ったな、と驚嘆したものだ。ストップモーションアニメは究極のアナログ作業だ。やはり完成までに7年もかかったという。その緻密な造形には恐れ入るが、なによりも、原作・脚本・監督した堀貴秀の想像力と創造力に脱帽である。おまけに彼は声の出演もしている(笑)。そもそも登場人物たちが何語でしゃべっているのかもわからない。だから字幕がついているという国籍不明のアニメである。

 で、物語は。未来の世紀、生殖能力を失った人類は起死回生をかけて地底へと調査隊を派遣する。そこにはかつて人類が生み出したマリガンという人工生命体が生息しており、独自の社会を築いていた。地下の迷路には様々な生物や非生物たちの生態が描かれ、想像を絶する気色の悪い有象無象が生息している。

 いしいひさいちの漫画に「地底人」と「最低人」の闘いというのがあったが、あれを思い出してしまった。

 この作品はもう一度見たら全然違う感想が生まれそうな予感がする。とにかく初見ではひたすら驚いて口あんぐり状態で圧倒されてしまった。脚本はちゃんと考えて作ったという感じとはほど遠いのに、なぜか物語にはぐいぐいと迫ってくるものがある。この映画の世界に没入して呆けているうちに終わりました、という感じ。

 ストーリーはあるようなないような。登場「人物」のキャラも不定形でよくわからない。とにかく渾沌と破廉恥と、子どもじみた下ネタ(う●こ、ち●こ)が満載のグロイ作品。続編もあるようだが、もう見たくない。いや、怖いもの見たさで観にいってしまうかも。ああー、見るだろうなきっと(笑)。

2017
日本  99分
監督:堀貴秀
原作:堀貴秀
脚本:堀貴秀
美術監督:堀貴秀
セット:堀貴秀、杉山雄治、牧野謙
衣装:堀貴秀、牧野謙
編集:堀貴秀
音響効果:堀貴秀
音楽:堀貴秀
アニメーター:堀貴秀、三宅敦子
人形:堀貴秀、牧野謙
映像効果:堀貴秀、杉山雄治、三宅敦子
声の出演:堀貴秀、三宅敦子、杉山雄治