吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。感謝。

居眠り磐音

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 「いよっ、松坂屋!」と大向こうから声がかかりそうなほど、桃李くん、かっこいいです!

 居眠りしているようにも見える構えから素晴らしい太刀さばきを見せる若き豊後関前藩士坂崎磐音(さかざき・いわね)の波乱万丈の物語。

 磐音の祝言前日に大きな事件が起き、幼馴染3人を失った彼は絶望とともに脱藩して江戸に流れてきた。このごたごたのいきさつが大変ややこしい。おそらく後々の話へと続く伏線なのだろうが、本作では真相は明かされないままだった。

 で、物語は江戸に到着した浪人磐音が金欠のあまり、鰻屋で働いたり両替商の用心棒になったりするのだが、彼は生来明るい人柄のようで、金に困っているくせにくよくよしている風もない。時は田沼意次の財政改革の時代。田沼が敷いた貨幣改革により、金相場が値上がりしていた。そのどさくさにぼろ儲けをたくらむ銭ゲバ両替商が淡路屋であり、一方、田沼派の両替商かつ良心的な商売を旨とするのが今津屋である。磐音はこの今津屋の世話になることになる。

 柄本明の悪徳商人ぶりがあまりにも絵にかいたような悪役なので終いには爆笑してしまった。しかも関西弁やんか! なんでやねん。芸達者ぶりに感動しつつ笑った。

 で、磐音も強い剣士のはずだが、何度も切られてけがをしている。そんなに切り傷だらけになったら敗血症で死ぬのではないか。この時代劇は主人公が超人的な強さを見せるわけではないところがよい。彼はふだん心優しく礼儀正しい好人物かつ頭も切れて手先も器用。おまけに男前。だから女にもてるのは当然なのであるが、もう3年半も逢っていない許嫁を想い続ける。この悲恋が涙をそそる。

 笑いあり涙ありチャンバラあり純愛あり陰謀ありの盛り過ぎ感に満ちた娯楽作。続編希望。(レンタルBlu-ray

 2019
日本  121分
監督:本木克英
原作:佐伯泰英 『居眠り磐音 決定版』(文春文庫刊)
脚本:
藤本有紀
撮影:
安田雅彦
音楽:
高見優