吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。

勝手にふるえてろ

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 小説が原作というのがよくわかる映画だ。主人公がしゃべりまくる。それも独り言のように。それが幻想だったり妄想だったりするのをスルーっと楽しく場面を飛ばしてセリフでつなぐ演出が小気味よい。

 コメディらしく妄想女の片思いをさらりさらりと笑い飛ばしながら軽やかに進む物語は、彼女が別の男に告白されて妙な三角関係になってますます快調。まるで中学生みたいな片思いを互いに押し付けあう男女のけったいな関係は、大人から見ればばかばかしい限りなのだが、これが憎めなくていい。

 ヒロインは人づきあいが下手で大人しい目立たない会社員で、中校生の頃からずっと10年恋をしている相手のことを「イチ」と呼んで妄想の世界で彼と戯れる。しかし現実にはちっともイチとは近づけない。一方、そんなけったいな女なのに好きだと言ってくれる男がいて、その彼のことを「ニ」と呼ぶ。で、まあ、もう「ニ」でもえっか。という気持ちになったりするのだが。。。

 いやもう面白いったらありゃしない。大人しい引っ込み思案の女のくせに他人になりすまして同窓会を企画してみたり、やることは大胆なこのヒロインの豹変する表情を松岡茉優が実にうまく演じている。この映画は彼女を見るための映画だ。

 クライマックスの種明かしミュージカルは涙なしには観られない。ぐっと切なく熱いラストへとなだれ込み、決め台詞はもちろん「勝手にふるえてろ」。(Amazonプライムビデオ)

 2017
日本   117分
監督:大九明子
原作:綿矢りさ
脚本:大九明子
音楽:高野正樹
出演:松岡茉優渡辺大知、石橋杏奈北村匠海趣里前野朋哉古舘寛治片桐はいり