吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。

イエスタデイ

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 映画館の中はもちろん中高年の観客だらけ。地味にロングランしてくれるおかげでやっと見に行くことができた。やっぱりいいねえ、ビートルズは。

 世界中の誰もビートルズを知らなくて、自分だけが知っていたら?などという映画のストーリを思い付いたアイデアが秀逸だった。主人公の売れない歌手はビートルズの曲、パクりまくりです。しかし問題は、世の中にビートルズが存在しないのだから、曲も歌詞も全部自分の脳内にしかないってこと。忘れた歌詞を思い出すために七転八倒する姿が笑える。

 舞台はもちろんイギリスだが、リバプールでないところがミソ。海辺の田舎町サフォードが舞台になっていて、そこを出身地とする歌手がやたら登場する。イギリスのロックというのは土地と深い結びつきがあるのだろうか。ビートルズリバプールから生まれ、偽ビートルズがサフォードから生まれるということに何か意味があるのかもしれないが、イギリス人ではないわたしにはわからない。

 そもそもなんで世界中からビートルズが消えたかというと、その奇跡のきっかけは謎の地球規模の停電。たった12秒間だけだけれど、世界から電気が消えた。その真っ暗闇のなかで交通事故に遭ったジャックは世界からビートルズが消えた事実に気づいて愕然とするが、しかしこれは千載一遇のチャンスである。売れない彼を10年間支えてくれた幼馴染のマネージャであるエリーも全力で応援してくれている。

 この映画ではジャックがインド系(?)であるところが現代風である。また、アグレッシブなアメリカ人マネージャーがやはり女性であるところも現代風で。この女性マネージャーを演じたケイト・マッキノンの根性悪そうな演技が最高に良い!

 映画では二つのドキドキがあって、一つは「いつジャックの盗作がばれるか?」、もう一つはジャックとエリーの恋のゆくえ。だって、世界中にほんとうに誰もビートルズを知らないってありかな? ジャックは自分のオリジナル曲を売りたいだろうに売れないことで劣等感にさいなまれてしまうし。恋の行方にしても煮え切らない二人、というか煮え切らないジャックのせいでエリーは彼との恋を諦めてしまうし。あー、イライラするわー。

 最初こそあまりテンポがよくなかったけれど、ジャックが売れ始めてからはどんどん面白くなって、最後は怒涛のライブシーンが待っている。このあたりの盛り上げ方がうまいわ! リチャード・カーティスらしいとぼけたセリフも楽しいし、実に清々しいコメディでありました。エリーを演じたリリー・ジェームズが大変美しくてそれも得点アップ要因。それから、主人公よりもその友人のロッキーといういかれた男のほうがキャラが立っていて目立っていたのも可笑しかった。

 最後にエンドクレジットとともにビートルズのオリジナル「ヘイジュード!」がかかった瞬間に胸が熱くなって涙が出そうになった。

 劇場用パンフレットがしゃれていて、薄っぺらいのに880円なんて高いわ!と思ったらこれはシングルレコードのジャケット風になっていて、パンフ本体を収納するタイプ。なるほどお。 

2019
YESTERDAY
イギリス  117分 
監督:ダニー・ボイル
製作:ティム・ビーヴァン、リチャード・カーティスダニー・ボイルほか
原案:ジャック・バース、リチャード・カーティス
脚本:リチャード・カーティス
音楽:ダニエル・ペンバートン
出演:ヒメーシュ・パテル、リリー・ジェームズケイト・マッキノン、ジョエル・フライ、エド・シーラン