吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

セルラー

 携帯電話一本あれば映画は出来てしまう! 携帯電話の特性を生かしたサスペンス、いやぁ、いまふうです。アイデアと脚本で勝負、お金はほとんどかかっていないという作品だけど、なかなか面白かった。

 ある日突然見知らぬ男たちに誘拐されてしまった理科の教師ジェシカ(キム・ベイシンガー、老けました)が、拉致された屋根裏から必死でかけた電話が偶然ちゃらんぽらんな若者の携帯に繋がった。軽薄男の汚名返上、電話を受信したライアンくんが必死で救出活動に突入する! というお話。

 この映画、なんでそんなところにそんなものを隠しているのよ!とか、なんで警察に通報しないのよ!とか、人質はちゃんと縛っておきなさいよ!とか、突っ込みどころが満載だけど、まあそういうところは話を面白くするためにそうしてあるのであって、そこは納得しないとね。

 携帯電話が電源切れになるとか、ビルの中で繋がらなくなるとか、ほかの電話と混線しちゃうとか、携帯ならではのシチュエーションがサスペンスにうまく接続されていて、たいへんスリリングでよろしい。悪役が「トランスポーター」のジェイソン・ステイサムというのもマッチョな感じで意外によかった。「フォーン・ブース」の脚本家ラリー・コーエンが原案だけあって、テイストがとてもよく似ているのだが、本作のほうがストーリーは単純だ。「フォーン・ブース」にはなにやら宗教的な匂いがあったが、「セルラー」のほうはただ単に携帯電話を使ったサスペンスというアイデアだけがある。

 で、ストーリーが単純なだけに細部の台詞が凝っていたり、脇の役者が個性的で面白かったりと、楽しめるように作られている。最後まで全然飽きさせないところはお見事。

 サスペンスアクションとしては上出来です、95分というコンパクトさもいいしね。疲れた頭を休めるときの息抜きにはいいんではないでしょうか。(レンタルDVD)

                            • -

CELLULAR
アメリカ、2004年、上映時間 95分
監督: デヴィッド・R・エリス、製作総指揮: ダグラス・カーティス、キース・ゴールドバーグ、脚本: クリス・モーガン、音楽: ジョン・オットマン
出演: キム・ベイシンガークリス・エヴァンス、ウィリアム・H・メイシー、ジェイソン・ステイサムノア・エメリッヒ、エリック・クリスチャン・オルセン