途中で誰と誰が敵なのか味方なのかわからなくなって、人物相関図を出してくれーと叫びそうになった。
1971年のベルファストを舞台にした戦争サスペンス。IRAとの熾烈な内戦(といっていいのか?)を戦っていたイギリス軍の一兵卒が体験した一夜の恐怖。何も知らずにとりあえず兵隊になってみました、という若い新兵の視点で描かれるから、いっそう観客にはわけがわかない世界に見える。IRAの武装闘争の歴史を多少でも知っていないと、まったく状況がつかめない映画だ。
当時のIRAの内部対立や、イギリス軍のスパイの動きが複雑にからみあう。ベルファストでの暴動鎮圧に駆り出された新兵が、たまたま武器を奪われて一人本隊からはぐれてしまうところから、本作の物語は始まる。そして、ひたすらの逃走劇が大変な緊迫感をもって描かれるわけだが、主人公がイギリス兵だから、当然にも観客はその視点で物語を見るし、悪者はIRAのテロリストだと思ってしまう。しかし実際にはそんな単純な話でもないから、だんだん誰が悪者なのかわからなくなる。
それが製作者の意図なのだろう。事件から40年以上が経って描かれた本作は、現代の歴史としてアイルランド独立闘争を描いた。何が正義か、混とんとした中にこの問いを置いたことは、困惑と混迷のなかにあるこの問題を本作が的確に提示して見せたとも言える。とはいえ分かりにくすぎて、映画が始まった瞬間から眠りそうになっていたわたしにとってはなかなかつらいものがあった(;^_^A これから見る人にはぜひ体調を整えてちゃんと見てほしいと思う。(UNEXT)
'71
99分、イギリス、2014
監督:ヤン・ドマンジュ、脚本:グレゴリー・バーク、音楽:デヴィッド・ホームズ
出演:ジャック・オコンネル、ポール・アンダーソン、リチャード・ドーマー