吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

アド・アストラ

長期出張に出たまま帰らない父を探しに行く息子の物語、を宇宙スケールで展開したらこうなりました。基本は父恋もので、ストーリーに斬新さはない。だから、宇宙での場面の壮大さにいかに没入できるかで映画の評価は大きく変わるだろう。後は、空気のない無…

米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー

那覇市長に当選しながら1年で米軍から追放された瀬長亀次郎の波乱の生涯を描くドキュメンタリー。「不屈」が座右の銘だった彼らしい生涯が感動的に描かれていく。稀代の名演説家だったというその若かりし頃の演説を聞いてみたいものだ。後半に彼の国会演説の…

家族にサルーテ!イスキア島は大騒動

8月初めに見た映画。 舞台となったイスキア島の風景が美しい。「マンマミーア」の島に匹敵する素晴らしい陽光と眺望だ。地中海の島は美しいねぇ、一度は行ってみたい。 で、登場人物が19人もいてその人間関係を把握するだけで映画が終わってしまいそうな勢い…

COLD WAR あの歌、2つの心

個人的な好みから言えば、今年ナンバーワンの作品。もう一度見たいものだ。 極端な省略で綴る大河ドラマは、1949年から15年間の激しい恋の物語。鉄のカーテンの東西を往還しつつ、恋人たちは求めあい、また離れていく。 省略された行間は音楽が埋める。これ…

日日是好日

Blu-rayで見たからなのか、画面がたいそう美しくて心が和んだ。何も起きない淡々とした映画なのに呼吸をするようなリズムで画面が移り変わっていく、そして季節が移ろう様子が心地いい。茶道のお作法の複雑さがよくわかって、勉強になった。 黒木華と多部未…

フリーソロ

同じ監督の「メルー」を見たときにも驚異の映像に口あんぐりしたものだったが、今回はさらに恐怖の度数がアップ! こんなもの、よい子は絶対に真似してはいけませんよ! 今回の密着ドキュメンタリーの対象は、フリーソロと呼ばれる、ロープ無しの素手で断崖…

タロウのバカ

暴力、血、隔離された知的障がい者たち、叫び、暴力、育児放棄、援助交際、暴力、貧困、イジメ、血、排除。こんなマイナスのエネルギーが横溢する怪作が登場した。樹木希林の遺作「日日是好日」の大ヒットで注目を集める大森立嗣監督の最新作である。大森監…

記者たち 衝撃と畏怖の真実

4月に見た映画。 NHKなどの報道機関が政府広報に成り下がってしまった今こそ見てほしい映画。 ドラマはイラク戦争からの帰還兵が公聴会で証言する場面から始まる。青年は車椅子に乗ったまま、こう問いかける。「なぜ戦争を始めたのですか?」と。 物語は2001…

ロケットマン

まずは「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014年)ばりのド派手な鳥男が逆光の中に浮かび上がる印象的な場面から始まる。それは舞台衣装に身を包んだエルトン・ジョンだ。憔悴しきった彼はステージに背を向けて集団セラピーの場にやっ…

ゴッホ:天才の絵筆

ゴッホ自身がナレーションをするという設定の異色のドキュメンタリー。なんと、フランス映画であったのか。英語でしゃべっているからイギリス映画かと思ったが、そのナレーションの英語がけっこうなまっているのだ。これはわざとかと思ったが、実は本当にな…

3月のライオン

1月に見たので詳細は忘れてしまったが、前後編におよぶ長い作品にもかかわらず、引き込まれて見た。 一度も将棋を指したことがないわたしにしても、その世界の厳しさや美しさが垣間見えて、長い作品にも関わらずのめりこんでみていた。おそらく原作の漫画が…

サバイバルファミリー

ある日突然、すべての電源が消失するというSFコメディ。コメディと言いながらかなり真面目だし、でもやっぱり設定は大甘だし、ジャンルものとしては中途半端なところがいけなかったね。しかし、単なる停電と違ってすべての電力が喪失するという発想が秀逸だ…