4月に見た映画。
物語は2001年の9.11テロへと戻る。WTCビルが崩壊する衝撃の映像を久しぶりにまた見てしまった。やっぱり何度見ても衝撃の場面だ。
本作の冒頭には「これは真実である」という文字が映し出される。「事実に基づく物語」とか「ほぼ事実」という文言が流れる映画は多いが、「全部事実」みたいなニュアンスは初めて見た。それだけに地味なお話である。巻頭しばらくして途中でちょっとわけがわからなくなって眠くなったりもしたが、要するに「イラクに大量破壊兵器があるというのは大嘘」という報道を行なった小さな新聞社ナイト・リッダー社の4人のジャーナリストの物語なのだと理解したらあとは大変面白く話が進んでいった(というか、理解するのが遅すぎる自分を反省)。さすがにロブ・ライナー監督はうまい。これだけ真面目な社会派作品でもちゃんと見せ所はつかんでいて、観客を離さない。
何度も当時の実写フィルムが挿入される。政治家はほぼ全員本人が当時の実写で登場する。ブッシュJr.大統領が盛大な嘘をついている画面を今見るともう白けてしまう。こんな映像を繰り返し流される本人も恥ずかしいだろう。
ロブ・ライナー自身が演じた、ナイト・リッダー新聞社のワシントン支局長が素晴らしい。そのジャーナリストとしての勘といい、部下を信じてその能力を最大限に引き出すようにある時は叱咤し、ある時は無視し、しばしば大いに褒める、その管理者としての能力が卓越している。
実話が基になっているだけに派手なところはまったくないが、今年必見作の一つ。