吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

プロジェクト・グーテンベルク 贋札王

 偽札づくりの犯罪アクション。途中、偽札づくりの工程を説明する部分が少々退屈で寝てしまったが、後半はあれよあれよという怒涛のアクションシーンが爆砕するため、どんどん目が覚めていく。いやー、すごかったですね。
 贋札づくりに欠かせない紙として「無酸紙」という用語を使っていたが、これは要するに中性紙のことだと思われる。紙の酸性度を測るペンがあり、これは博物館関係者にはおなじみのもので、アルカリ紙に塗ると紫色に着色するが酸性紙に塗ると黄色く変化する。これが色彩的に効果的に使われていて印象に残った。
 贋札を印刷する機械が動き、次々と刷り上がっていく場面の爽快さは比類ない。人間の手でインクを練り、輪転機にインクを塗り、次々と機械が回る。こういう場面は大好き。
 偽物なのは札だけではない。ありとあらゆるところに偽物が混じっている。果たして最後はどの偽物が現れるのか?
 「画家」と呼ばれた謎の贋札集団の親分が久しぶりにみたチョウ・ユンファ、超絶かっこいい。とても65歳になるとは思えない若々しさ。ガンガンと銃を撃ちまくるその派手派手しいアクションシーンは「火薬使い過ぎでしょ、それはないやろ!」と突っ込みながら見ておりましたが、最後に「なるほど、そういうことだったのね」と。
 贋作画家だった主人公レイが売れない悲しさから偽札づくりに誘われて落ちていく様子が切ない。そして恋人のことを何年経っても忘れずにずっと愛し続けていたことも悲しい。
 さて、ラストシーンを見て衝撃を受けたあとは、最初に戻ってもう一度見たくなる映画。でもまあ、アクションアクションの連続には少々飽きも来る。 騙されたい人、騙されたくない人、両方にお薦め。
2018
無雙
PROJECT GUTENBERG
香港 / 中国  130分
監督:フェリックス・チョン
脚本:フェリックス・チョン
撮影:ジェイソン・クワン
音楽:タイ・ワイ
出演:チョウ・ユンファ、アーロン・クォック、チャン・ジンチュー