吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ロスト・バケーション

よい子は一人で海へ遊びに行ってはいけません、という教訓話。 鮫ですよ、鮫。食われます、はい、約3名。誰が食べられちゃうのか、よーく画面を見ていましょうね。基本的に男はすぐ食べられて、女はなかなか食べられません。ごちそうは最後にゆっくり食べよ…

ワンダー 君は太陽

トリーチャー・コリンズ症候群という遺伝子疾患が原因となる病気の子どもが主人公。顔面が普通の子どもと違うために、オギー少年は27回も手術を受け、学校への通っていなかった。だが母のイザベルはオギーを小学5年生から登校させることを決意する。校長と面…

万引き家族

6月3日の先行ロードショーで見たのに続き、7月21日に2回目の鑑賞。二回目でさらに完成度の高さに脱帽した。この上いっそう余裕をもって観賞するためには三回見る必要がある映画だ。とはいえ、そんなにハードルを上げたらいけないいけない。一回の鑑賞でも十…

砂上の法廷

キアヌ・リーブズ、久しぶりにスマートでかっこいい役を演じております。今回は辣腕弁護士。地味な法廷劇で、あまり世評も芳しくなくひっそりと上映されて割とすぐに終わってしまったという印象があった作品だが、なかなか映画らしい演出がよかった。 さてス…

悲しみに、こんにちは

父母を亡くした六歳のフリダは叔父夫妻に引き取られるために都会のバルセロナから田舎へと引っ越す。巻頭のこの場面でフリダは言葉もなく荷造りの箱を見つめ、黙って車に乗り込んでいく。その深い悲しみを目元に湛え、彼女はいつも何かに耐えているような表…

BPM ビート・パー・ミニット

長男Y太郎に薦められて、4月に見た映画。しかしこれは日本ではヒットしないし評価もされないだろうと思った作品。カンヌ映画祭グランプリ受賞作だけれど、万人が共感をもって受け止める感動作ではない。そもそも日本では、活動家を「プロ市民」と呼ぶネトウ…

菊とギロチン

大正デカダンの時代、関東大震災直後の混乱した関東地方に女相撲の一座がやってきた。それを見た若きアナキストたちのグループ「ギロチン社」の一行は女相撲の虜になり、彼女たちと行動を共にしようとする。大正時代末期の猥雑でエネルギーにあふれた人々の…

グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札

王室ものというのはある意味手堅くヒットが狙えるから映画にしやすいんだろう。とりわけグレース・ケリーのようなシンデレラ物語となった美しすぎる女優・王妃の物語なら当然、絵になります。ニコール・キッドマンはかなり雰囲気が似ているし、背が高くてス…

最高の花婿

フランスって多国籍多民族の移民国家なんだとつくづく思う。だからこういう映画も作れちゃう。 田舎の豪邸に住むクロードとマリーの夫婦には才能にあふれた美しい娘が4人いて、みなパリに住んでいる。「娘たちをパリなんかにやったからよ」とマリーがこぼし…

バーフバリ 王の凱旋<完全版>

さすがに長いわー。エンタメ的にはこれ以上ないという無茶苦茶なサービスぶりだけれど、英雄としてバーフバリを称えれば称えるほど、だんだん虚しさが募ってくる。製作者の意図を超えて立派な反戦映画になっているではないですか!(んなわけないか) 前作の…

告白小説、その結末

次回作が書けなくてスランプに陥る女性作家のもとに熱烈なファンを自称する美しい女性が現れた。彼女の名前は「ELLE(彼女)」。エルもまたライターだ。ただし、エルはゴーストライターで、他人の自伝を書いているのだという。いつのまにかすっかり作家…

空飛ぶタイヤ

見ごたえのある企業犯罪追及社会派作品。主人公の中小企業社長が正義のために闘う姿よりも、大企業の末端で出世を狙いながらうまく立ち回る一癖ある正義派のほうが魅力的だ。 物語のもとになった事件は三菱自動車工業のリコール隠しであることは言を俟たない…

バーフバリ 伝説誕生

出たっ! B級超大作!! 興奮のるつぼと爆笑の嵐。歌って踊って大戦争。 なんでこれを観たかというと、現在劇場上映中の続編の完全版を観たいから、その予習のため。思いっきりCGとワイヤーアクションを使い、スローモーションを多用してあり得ない映像体験…

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー

な、長い。何しろ登場人物が多いから、そのエピソード処理だけでもずいぶん時間がかかるのはしょうがない。で、お話は結構面白かったから長いけど退屈はしなかった。もう二週間以上前に見たのでまたしても細部はすっかり忘れたけど、エリザベス・オルセンの…

いつだってやめられる 7人の危ない教授たち

東京出張中に見た7作品の一つ。映画館で声をあげてこんなに笑ったのは久しぶりだよ。この続編を先に見たときには、前編を見なくてもだいたいわかるからえっか、と思ったが、やっぱり前作を見てないと面白み半減だわ! そうか、このパターンを踏襲するのね、…

0.5ミリ

ある事件をきっかけに仕事と住居を失った若き介護ヘルパーが、次々と老人をたぶらかして押しかけヘルパーになって食いつなぐというブラックコメディ。 後半にいくほどダレてきて、特に津川雅彦じいさんの独白は認知症老人の特徴を出すために何度も同じセリフ…

gifted/ギフテッド

また一人天才子役が現れた。前歯の抜けたなんともいえない愛らしい顔に、長い睫毛を震わせながらくちゃくちゃの顔で笑う、抱きしめたくなるようなマッケナちゃん! 天才子役が天才少女を演じる。これはもう地でそのまま天才という雰囲気が全身から蒸発しまく…

リュミエール!

映画の原型であるシネマトグラフを生み出したリュミエール兄弟が残した1422本の作品から108本を厳選して解説を加えたもの。これがまた面白いったら。こんなに古い、ほんと、120年も昔の映像を見て何が面白いのかと思われそうだが、解説も含めて極めて興味深…