吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

いつだってやめられる 7人の危ない教授たち

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 東京出張中に見た7作品の一つ。映画館で声をあげてこんなに笑ったのは久しぶりだよ。この続編を先に見たときには、前編を見なくてもだいたいわかるからえっか、と思ったが、やっぱり前作を見てないと面白み半減だわ! そうか、このパターンを踏襲するのね、とか、ここでこういう動きをするから次回作につながるギャグになるのか、とかいろいろ今回学んだことがあったので、ここは一挙三部作を上映してほしいもんです。今回見たのも特別上映だったみたいで、パンフレットも作成されていなかった。実に残念である。プレスシートを300円も出して買ってしまったよ、試写に行けばタダでもらえるのに!
 まあそれはともかく、今どきの研究者の悲惨な状況がよく描かれていて涙がちょちょぎれる話でした。で、そもそも「いつだってやめられる」の意味を取り違えていたわ。この作品でそのセリフを主人公が言うのには、「非合法すれすれのドラッグを製造販売する仕事なんて、いつだってやめられる」という意味だったのだ。
 この映画がイタリアで大ヒットしたのはかわいそうなインテリたちへの同情心ゆえではなく、インテリを嘲笑う人々が留飲を下げるために見に来ていたというような意見をネットで読んだが、そうなると製作者の意図と違う結果であり、悲しいことだ。でもこの映画の面白さはインテリ自虐ネタでもあるわけだし、その点では狙い通りと言えなくもない。
 というわけで、金儲けのために犯罪に走る失業研究者たちの悲惨な生活ぶりを見ながら笑える社会派コメディでありました。日本ではたぶん第三作が公開されるはずなので、そのときにはぜひ三部作一挙上映してほしい。

SMETTO QUANDO VOGLIO

105分、イタリア、2014

監督:シドニー・シビリア

出演:エドアルド・レオ、ヴァレリア・ソラリーノ、ヴァレリオ・アプレア、パオロ・カラブレージ、リベロ・デ・リエンツォ