吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。

心の旅

f:id:ginyu:20190504205030p:plain

 強引な訴訟指揮で負け知らずの辣腕弁護士ヘンリーが、突然の事件に巻き込まれて記憶喪失となり、身体機能も失ってしまう。必死のリハビリでなんとか日常生活を送れるようにはなったが、記憶はなかなか戻らない。と同時に、かつての仕事人間だった自分に疑問を感じるようになり、家族のきずなを取り戻すことをこれからの生き方として選んでいく。という、とても感動的な話なので、手放しでほめたいところだが、ちょっとひっかかる点も否めない。

 ヘンリーは人格ごと変わってしまったわけで、それは「別人」ではないのか? そういう別人格を本当に愛せるのだろうか。人の生き直しの映画としては確かに感動的だが、過去の記憶すら失ってしまったヘンリーにとって生き直しが本人の自発的選択なのかどうかが気になる。それに、かつては本気で愛していたはずの愛人のことも忘れてしまうなんて、これもなんだか納得できない。妻より愛していた人がいたなら、その人と一緒になるのが自然のなりゆきのはず。

 その妻役のアネット・ベニングが美しい。ハリソン・フォードの演技力にも感心した。渋くてとてもかっこいい。あまりにもかっこよかったので、翌日のわたしの夢にまで出てきてしまった。リハビリ療法士のビル・ナンがとてもいい役をもらって、これは美味しいところをさらった感じ。

 いろいろ疑問に思うところはあれども、人生を生き直すという大きなテーマについては賛同できるし、ハンス・ジマーの音楽も美しいし、お気に入りの一作になりました。

 そうそう、記憶をなくしても、匂いは憶えているんだね、これはよくわかる。(Amazonプライムビデオ)

(1991)
REGARDING HENRY

脚本:ジェフリー・エイブラムス