第1作の続編というより、まるでそのままパーツを取り替えただけの別バージョン。やっぱり、目が覚めたらバスルームに虎がいる、という衝撃のほうが「目が覚めたら猿が」よりは大きいよね。ただしこの猿、虎と違ってちゃんと見事な芸を見せてくれるから、映画にはじゅうぶん貢献してくれている。
で、問題は、前作の内容をちゃんと覚えていなかったこと。これ、ちゃんと覚えていたら笑えるシーンがもっといっぱいあったはずなのに、そう思うと悔しい。何しろわたしの隣席の中年女性は終始大きな声で笑いっぱなし。なんでそんなに笑えるのか、しまいには羨ましいというかねたましくさえ思えるほどの楽しみよう。他にも、劇場内ではあちこちで爆笑がおきていたから、みなさん楽しめたようで何よりでした。今回のギャグには人種差別ネタなどのきわどいものがあって、日本ではテレビで放送できないんじゃないの、と思わせる。差別発言はアジア人とアメリカ人双方から飛び出し、互いの異文化への違和感が強烈に火花を飛ばす場面がけっこう緊迫感ある。
前作ではラスベガスで大羽目外しの3人組、今回は歯科医ステュの結婚式のためにタイにやってきた。で、今回はどんなすごいことをしたのか? 朝目覚めたらいつもの3人組は見知らぬホテルの部屋にいて、花婿のステュの顔には刺青(タトゥー)が彫ってあり、花嫁の弟は行方不明で彼の指だけが残されている、という猟奇的展開。さて失われた記憶をたどって判明した彼らの破天荒ぶりは…?! という、まったく前作と同じ展開なので、新鮮な感動が皆無。少々のことをしでかしていても、何しろ前作でとんでもないことはすべてやり尽くしたのだから、それ以上の驚きは望めない。ここが実に残念な続編である。しかし逆にいえばお約束のできごとが次々起きるわけだから、前作を思い切り楽しんだ観客にとっては美味しいシーンばかりなのだ。それで劇場内は爆笑の渦だったのだろう。きーっ悔しい、わたしはそこまで笑えないしっ。おまけに少々退屈して途中少し寝てしまいましたよ。
実は一番面白かったのはエンドクレジットの最中に流れたスチール写真の部分。ええ〜っ、そんなことしてたん、あなたたちっ。これは面白いわ。
ところで、史上最悪の二日酔いというタイトルだけれど、実は二日酔いじゃなくてみんなドラッグで飛んでしまったというのが真相なのであります。単なる二日酔いであそこまですごい経験はできないでしょ、ふつう。
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THE HANGOVER PART II
102分、アメリカ、2011
製作・監督: トッド・フィリップス、製作総指揮: トーマス・タルほか、脚本: クレイグ・メイジン、スコット・アームストロング、トッド・フィリップス、音楽: クリストフ・ベック
出演: ブラッドリー・クーパー、エド・ヘルムズ、ザック・ガリフィナーキス、ケン・チョン、ジェフリー・タンバー、ジャスティン・バーサ、ポール・ジアマッティ、ジェイミー・チャン