吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。

新感染半島 ファイナル・ステージ

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 抒情的な音楽が美しい。

 (「ワールドウオーZ」+「マッドマックス」)÷2、という映画。アクションの迫力もゾンビのスピード感も、どこか悲しくて笑える点もなかなかよい。

 前作大ヒット「新感染」が狭い鉄道車両内でのパニック映画だったのに対して、今度はスケールが大きくなったので、ぜひ映画館の大スクリーンで見たいところ。続編といいながら、テイストがまるで違うので正確にはやはり別物と思うほうがいいだろう。

 「新感染」でゾンビ感染が広がった韓国がすっかり荒廃しきってしまった4年後の物語である。日本みたいな島国なら”ニッポン全部隔離”でなんとか封じ込めそうな気もするが、大陸の一部である韓国だけでどうやって感染を食い止めたんだろうねぇ。そこが知りたい知りたい、が、そこはスルーすることになっている。

 主人公は元軍人で、今は香港に避難民として生きる世捨て人ジョンソク。彼はゾンビ野生の王国と化した韓国で大金を積んだまま放置されているトラックから金を回収してくるという難易度の高い仕事をヤクザな連中から引き受ける。そして、船で上陸した韓国はゾンビ以外に人間もまだ生存していたではないか! しかも集団を作って生きている彼ら元軍人たちは愚連隊と化して、あたりいちめん完全無法地帯となっていたのだ。そこには母と娘たちだけでサバイバルしている家族もいた。驚異の運転テクニックを持つ中学生ぐらいの少女とその幼い妹に助けられたジョンソクの、制限時間とゾンビと愚連隊軍人たちとの三つ巴の戦いが始まった!

 という、てんこ盛りアクション映画。製作費は前作よりそうとうアップしたと見えてセットも大掛かり、CGも大掛かり。そしてこの戦いを通じて贖罪しようとするジョンソクの自己変革もかかっているのだ。いろいろ泣ける設定が仕掛けてあって、正義とか自己犠牲とか美しい言葉が綺羅星のごとくにわたしの脳内を駆け巡る。最後は美しい音楽が否が応にも盛り上げ、過剰な演出がリアリティを無視して涙をそそるのである。 「マッドマックス」の世界観や世界崩壊ぶりが好きな人にもお薦め。笑える場面も随所にあり。

2020
韓国 Color 116分
監督:ヨン・サンホ
脚本:ヨン・サンホ
撮影:チョン・ギウォン、イ・ヒョンドク
音楽:モグ
出演:カン・ドンウォンイ・ジョンヒョン、イ・レ、クォン・ヘヒョ、キム・ミンジェ、ク・ギョファン