吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

ジョーカー

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 これまた恐ろしい映画を観てしまった。一瞬も画面から目が離せない、ものすごい吸引力を持った映画だけれど、見終わった瞬間に「もう二度と見たくない」と思う。だからこの映画が大ヒットしている理由がわからない。リピーターが多いということなのか?
 バットマンシリーズで最高傑作と私が考えている「ダークナイト」につながる話で、ヒース・レジャーの怪演を上回る演技を見せたホアキン・フェニックスに身震いした。
 しかし、「ダークナイト」は絶対の悪を描き、悪を説明しなかったことに恐ろしさがあったのに、この「ジョーカー」では彼がどのようにしてジョーカーになったのかを説明してしまったところがわたしにとっては残念だった。
 という感想を「風まかせ映画の会」で話したら、参加者から総攻撃の反論を受けた(笑)。わたし以外の全員(10人弱)が満点だといって褒めたたえた作品だが、わたしは「ダークナイトは100点だがそれと比べると20点ぐらい低い」という評価をした。他の評者たちは「痛い映画だった」「他人事として見ることができない」といった感想を述べていた。
 この映画は編集が上手いので、ジョーカーの妄想がそのまま観客にも伝わり、観客もその妄想を本物と思い込んでしまう。過去の出来事も一瞬のうちに挿入されてフラッシュバックしてくる様子も見事に編集されている。
 ジョーカー(になる前のアーサー)が恋するアフリカ系女性がたいそう美しい。ザジー・ビーツというのか。今後いろいろと出てきそうな女優さん。 
2019
JOKER
122分
アメリ
製作:トッド・フィリップスブラッドリー・クーパーエマ・ティリンジャー・コスコフ
脚本:トッド・フィリップススコット・シルヴァー
撮影:ローレンス・シャー
音楽:ヒルドゥル・グーナドッティル