吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

アデライン、100年目の恋

試写にて。 まさにアクトレス・ムービー。女優を見る映画です。主役のブレイク・ライヴリーって日本でいえばさしずめ夏目雅子か。 29歳のときに落雷に遭ったのが原因で老化が止まってしまったアデラインという美しい女性が主人公。2015年の今、彼女は107歳を…

みつばちの大地

マークス・イムホーフ監督の生家は果樹園農家。マークス少年にとって蜂は身近な存在だった。しかしここ10年ほど、蜜蜂の大量死が世界的に問題になっている。この映画は蜜蜂の死の原因を探るとともに、養蜂の実態をえぐるドキュメンタリーである。 もはや蜂の…

ワイルド・スピード SKY MISSION

「ありえねー!」を6回ぐらい叫ぶ映画。このありえなさが面白いんだから、いいのいいの、どうでもいいの。 シリーズ7作目というのに、わたしはこれが初作品なので、基本設定がわからない。わからなくても全然オッケーなところがありがたい。主人公たちはほと…

カルロス

去年、三部作を長男Y太郎と一緒にDVDで鑑賞した。ほんとは1部だけでやめようと思ったのに、おもしろすぎて止まらず、第2部まで一挙に見てしまった。数日間をおいて第3部も見たが、やはり面白いのは第2部までだ。というのも、カルロスたちが世界をまたにか…

K2 初登頂の真実

1954年、エベレストよりも難関といわれた、世界第2位の高さを誇るヒマラヤ山脈「K2」の初登頂に成功したイタリア隊には登頂までにさまざまな駆け引きや嫉妬が渦巻いていたということを描く。とりわけ最後の最後に隊員の命を見殺しにするような事態まで起きて…

ホワイトハウス・ダウン

チャニング・テイタム祭りはまだまだ続く。 この作品は二年前に「マジック・マイク」を見た数日後に劇場で見て大いに楽しんだ作品。今更感想をアップするのもかなり苦しいものがある。ほとんど内容を覚えていない。覚えていなくても面白かったということは間…

親愛なるきみへ

チャニング・テイタム祭り、続いては彼の本領発揮の純愛もの。 まるで絵に描いたような青春恋愛もの。バカバカしいくらいに「純愛」なんだ。こんなのを見て感動しているおばさんはなかなかいないのでは、と自分に感動した作品であった(笑)。 出会ってたち…

マジック・マイク

チャニング・テイタムつながりで、二年前に見た映画をご紹介。もうすぐ続編も公開されるのを記念に。「フォックスキャッチャー」の登場人物のような精彩に欠ける男ではなく、この「マジック・マイク」でチャニングの魅力を堪能しましょう! して、本作は男性…

フォックスキャッチャー

1996年に起きた殺人事件へと至る10年の経過をたどる実話。 アメリカ三大財閥の一つデュポン社の孤独な御曹司は財力にものを言わせて自分のレスリングチームを作った。そのチームからオリンピック選手を出して、金メダルを取らせたい。もはや五十代になった御…

アンフィニッシュ・ライフ

どこにも奇をてらったところがない、かっちりと作られた落ち着いた作品。それだけに映画的カタルシスに欠けるうらみはあるが、しみじみと後から沁みてくる感動がある。大人向けの作品といえよう。 ワイオミング州の豊かな大地の緑が美しい。ロバート・レッド…

ロンドン・リバー

イギリスのとある島で農業に勤しむ主婦エリザベスには一人娘がいて、今はロンドンに住んでいる。エリザベスはテレビニュースでロンドンでの連続テロを知る。その日から娘と連絡がとれなくなり、もしやと心配になってエリザベスはロンドンの娘の住所に向かう…

最高の人生のはじめ方

劇場未公開の地味な映画。 ほとんど起伏がなく、何も驚くべきことも起きない。淡々と過ぎていくだけのストーリーなのにとても気持ちよくつかまれていくのは、モーガン・フリーマンが落ち着いた低音を響かせながら当意即妙のセリフを発していくから。その厚み…

ふたつの名前を持つ少年

イスラエルで発表された小説をドイツ人が映画化する、これが戦後70年の世界なのだろう。第2次世界大戦下のポーランドで8歳のユダヤ人少年がたった一人で生き抜いた、という実話を小説にした原作を読んだ1955年生まれのドキュメンタリー作家のペペ・…

しあわせへのまわり道

映画のポスターにはターバンを巻いたインド人の隣にハンドルを握る白人女性が写っている。思わず「ドライビング Miss デイジー」を連想したように、本作のテーマに移民差別もひそまれている(運転手が男女逆だが)。「夫婦関係に破れた女性を教え諭すインド…

人生スイッチ

この映画は夜行バスを待つ間に見たのだが、眠気も吹っ飛ぶすごい短編集だった。これだけまあ、よくえぐい話ばかり集めたねー。1話ずつにはつながりはなく、すべて1話完結ものである。それぞれに話はよく考えてあって、コメディなんだけれど笑えない戦慄のお…

あの日のように抱きしめて

ヒチコックの「めまい」にヒントを得、ユベール・モンテイエの小説『帰らざる肉体』をもとにしたサスペンス。 非常に地味で落ち着いた展開。夜の場面も多くて、前半はさほどの山場もないため、うっかりすると意識不明になる。最前列のおじいさんは途中完璧に…

リアリティのダンス

ホドロフスキーの少年時代の回想であり、父の伝記でもある。ロシア系ユダヤ人としてチリにやってきた父と「オペラ歌手」の母との生活を描く。 ホドロフスキーにとって父なるものはすなわちマチスモであった。父は共産主義者であり、スターリンの崇拝者だった…

野火

太平洋戦争下のフィリピン戦線。日本兵は既に大量餓死の状況を迎えていた。田村一等兵は肺を病んで野戦病院送りになるが、病院では「肺に穴が開いているぐらいじゃ病気じゃない」と前線に戻るよう命令される。原隊に戻った田村は上官に殴られ、「せめて2日ぐ…