吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

マジック・マイク

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 チャニング・テイタムつながりで、二年前に見た映画をご紹介。もうすぐ続編も公開されるのを記念に。「フォックスキャッチャー」の登場人物のような精彩に欠ける男ではなく、この「マジック・マイク」でチャニングの魅力を堪能しましょう!

 

 して、本作は男性ストリッパーの物語。もっとドタバタコメディかと思ったけど、意外に真面目。真面目にストリッパーやってるチャニング・テイタムのダンスが素晴らしすぎる。チャニングに目が釘付け、はあとマークが飛び交っております。「福山雅治くん、ごめんね、わたし、チャニングに乗り換えます」と二年前に彼に告げた(心の中で)ことが原因で、このたび福山くんも結婚してしまいました。

 

 実際にストリッパーの経験があるチャニング・テイタムが物語のヒントを与えたという。最近のソダーバーグ監督作では一番楽しめた作品。最初のうち、下品なダンスに眉をひそめていた良識派のわたくしも、チャニングの素晴らしい踊りを見た瞬間に評価を手のひら返し。確かにエロティックで、あまり上品とはいえないのだけれど、ストリートダンス風の振り付けが豪華で、その迫力にうっとりしてしまった。ストリッパーのダンスに黄色い悲鳴を上げる女性たちの嬉しそうな表情がまたたまらない。昔数回行ったことのあるニューハーフショーを思い出してしまった。あの当時のニューハーフショーに比べたら遥かにこの映画のショーの方が質が上だ。


 男性のヌードダンサーといえば「フル・モンティ」が真っ先に思い浮かぶが、こちらはプロのダンスであって、「フル・モンティ」のような素人芸とはまったく違う。「フル・モンティ」が仲間たちの友情を感動的に描いていたように、この「マジック・マイク」もまた、友情物語であったのだ。ストリップクラブのスターであるマイクが実業家を夢見て金を貯めていること、ストリップの舞台がない日には副業の肉体労働に精出している真面目人間であることなど、ちょっとした捻り部分が効いていて、マイクを魅力的な人物として輝いて見せている。マイクがスカウトしたイケメンの若者アダムとのからみや、アダムの姉とのロマンスが展開しそうでしない微妙な空気など、観客のつかみ方もうまい。


 強欲なオーナーを演じたマシュー・マコノヒー、老けたとはいえ、彼も鍛え上げた身体を惜しげもなくさらして熱演している。
 
 ラストでグッと来た。純情でうぶなマイクの感じが憎い。ますますハートマーク。

 

MAGIC MIKE
110分、アメリカ、2012
監督: スティーヴン・ソダーバーグ、製作: ニック・ウェクスラーほか、脚本: リード・カロリン
出演: チャニング・テイタムアレックス・ペティファーマット・ボマーマシュー・マコノヒー、ジョー・マンガニエロ