「ありえねー!」を6回ぐらい叫ぶ映画。このありえなさが面白いんだから、いいのいいの、どうでもいいの。
シリーズ7作目というのに、わたしはこれが初作品なので、基本設定がわからない。わからなくても全然オッケーなところがありがたい。主人公たちはほとんどがアフリカ系かラティーノなので、アメリカ底所得者層に受ける映画である。いまアメリカで映画というのはもっとも庶民的な娯楽のひとつであり、700円ぐらいあれば見られるために、低所得者層にとっても一番手軽なものである。少々英語がわからなくても展開についてこられる作品が一番うける。だからこの作品も長いシリーズを保っていられるのだろうな、と思う。
で、もともとは自動車レースの話だったらしいけど、本作ではそんな始原は忘れ去られていて、とにかくド派手に空中戦を展開すればいいというコンセプトで、ワラワラと空から車が降ってくる。
パラシュート降下部隊が車に乗ってるってありえんでしょー、なんで空中で回転してしまわないの? なんで空中で重量オーバーにならんの? なんで空中で衝突しないの? まあ、そういう疑問はぜぇーんぶ飲み込んでください。面白ければそれでいい! このアイデアを考え付いた人に脱帽です。
ビルからビルへと車が飛び込んでいくというアイデアも良し!! しかも2回もやるんですよ、これ。空中戦が好きな人には大のお薦め作です。
作品全体の流れとしては前半1時間でいったん山場が終わってしまうので、ここでほっと一息つきたいところ。ここを乗り越えたら疲れて寝てしまう人もいるかもしれない。しかしまだまだ続くのであーる。正直言うと、わたしは前半1時間で疲れてしまって、後半はぼーっとしながら見ていたので、登場人物の区別もあんまりついていない。しかし!!! !
そんな中にあって瞠目のシーンあり! 腕を折って入院していた超ゴリマッチョなドウェイン・ジョンソンが「仕事だ!」とギプスを腕力でぶち破る場面。わたしはここだけ繰り返し何度も見ましたよ(笑)。
撮影途中で主役の一人ポール・ウォーカーが交通事故死するというアクシデントに見舞われた作品だけれど、チームを「家族」だと称して家族愛を強調する場面では、「そうか、こうしてやくざな組織の団結が築かれるのか」と妙に納得したりして、仲間の死をも乗り越えていくこの作品には、ますますアメリカ社会で疎外されている底辺層の人々の心をつなぐ魅力があるんだろうと確信する。同時に、それはひょっとしたら危険な団結心かもしれない。マフィアを生む土壌になるんだろうな、おそらく。(レンタルDVD)
FURIOUS 7
138分、アメリカ、2015
監督: ジェームズ・ワン
製作: ニール・H・モリッツ、ヴィン・ディーゼルほか、脚本: クリス・モーガン、
音楽: ブライアン・タイラー
出演: ヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカー、ドウェイン・ジョンソン、ミシェル・ロドリゲス、ジョーダナ・ブリュースター、タイリース・ギブソン、クリス・“リュダクリス”・ブリッジス、エルサ・パタキ、カート・ラッセル