吟遊旅人のシネマな日々

歌って踊れる図書館司書、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)の館長・谷合佳代子の個人ブログ。映画評はネタばれも含むのでご注意。映画のデータはallcinema から引用しました。写真は映画.comからリンク取得。感謝。㏋に掲載していた800本の映画評が現在閲覧できなくなっているので、少しずつこちらに転載中ですが全部終わるのは2025年ごろかも。旧ブログの500本弱も統合中ですがいつ終わるか見当つかず。本ブログの文章はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC-BY-SA で公開します。

チャーリーとチョコレート工場

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 全国で4館だけ、上映中にチョコレートの香りが漂うという触れ込みの映画。その晴れの4館に選ばれたひとつがTOHOシネマズ高槻。こりゃー、高槻まで行かないといけないのか、やれやれ。
 というわけで行ってきました。ところが! 劇場内に入るとチョコレートにあらず、いろんな食べ物の匂いがプンプンと! 大勢の人々がおにぎりやら弁当やらフライド・ポテトやらを頬張っているではないか。これではチョコレートの香りが嗅げるのか心配だ。
 して、上映中、とにかく匂いが気になって気になって。チョコレートの香りはどこから来るのかとそればかりに気をとられてしまった。異様な敏感状態にセットされたわたくしの鼻がとらえたものは…ん?なんやこれ、たこ焼きの匂い? まさか大阪の劇場ではたこ焼きの匂いを流すのではあるまいな。あっ、チョコレート工場の場面になった瞬間にものすごい甘い香りが! でも高級チョコの香りとはちと違うような……。ゴディヴァの香りとは違いますな、フ○タのチョコ程度か(笑)。

 さてはて、映画の中身はと申しますと…やっぱりわたしってティム・バートンとは相性がいいわ! この派手なブラック・ユーモア、ファンタジー、好き好き。

 世界中に大人気のチョコレートを製造する工場、その内部はいっさい秘密に閉ざされた、ウィリー・ウォンカの工場への特別招待状は、たった5枚だけがチョコに封入されているのだ。
 その5枚を手に入れた子ども達というのは、毎日毎日チョコレートを食べ続けているドイツのブタ少年、財力にものをいわせて何十万個ものチョコレートを買い占めたイギリスの少女、コンピュータを駆使してチョコレートを買う時期を計算したアメリカのゲームオタク少年、コンテストで勝ち続けることが生きがいになっているいけ好かないアメリカの少女、といった、いずれもいやぁ~な子どもばかり。
 して、最後の1枚は! それはもう、極貧生活もすさまじい傾いた家(ほんとに傾いている!)に住む家族思いのチャーリーが手にすることに決まっているのよね。

 5人の子どもたちはそれぞれ親や爺ちゃんを伴ってウォンカ社のチョコレート工場の前に集合した。この5人のうち、一人だけに特別プレゼントが用意されているのだ。早くも火花を散らす子どもたち。さぁ~て、門前に迎えに出たウィリー・ウォンカというけったいな社長は子どもたちを誘って工場を案内して廻るのだったが……

 ウィリーを演じたジョニー・デップ、ますます奇天烈な演技が冴えている。この人はなんでもこなせる器用な役者だねぇ。それにチョコレート工場のカラフルなこと! 子どもの夢を具現化したチョコレートのお城って感じ。いいねぇ、ついでにここにブランデーとかウィスキーがあれば文句なし。(なわけないか)

 いずれもバカ親とバカ子どもはお仕置きされるという教訓話。そして家族思いの貧しい少年には幸せが待っているという、お決まりのお話ね。ついでに歯科医の父親との葛藤に苦しめられてたウィリー社長にも父子の和解が待っているというめでたい話。こういう教訓めいたところはティム・バートンらしさが殺がれる部分なので、もうちょっと馬鹿馬鹿しいブラック・ユーモアぶりを辛辣にやってほしかった気もする。話の展開に意外性がないのも残念。
 でも、色彩溢れるとっても楽しい映画なのでご家族そろってぜひどうぞ。

CHARLIE AND THE CHOCOLATE FACTORY

制作年 : 2005
上映時間:115分
制作地:アメリカ合衆国、イギリス
監督: ティム・バートン
製作: ブラッド・グレイほか
原作: ロアルド・ダールチョコレート工場の秘密
脚本: ジョン・オーガスト
音楽: ダニー・エルフマン
出演: ジョニー・デップ
    フレディ・ハイモア
    デヴィッド・ケリー
    ヘレナ・ボナム=カーター
    ノア・テイラー
    ミッシー・パイル
    ジェームズ・フォックス
    ディープ・ロイ
    クリストファー・リー